【社説】COP26 途上国は危機感の共有を


国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で演説する岸田文雄首相=2日、英グラスゴー(代表撮影・時事)

 岸田文雄首相が国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳級会合で演説し、アジア各国の脱炭素化支援のため今後5年間で最大100億㌦(約1兆1300億円)の追加支援を行うと表明した。
 先進国との溝が鮮明に

 先進国は途上国向けに年間1000億㌦の資金援助を行うことで合意しているが、現状では8割程度の拠出にとどまっている。これを踏まえ、米国や欧州連合(EU)が相次いで支援増額を発表しており、首相も追加支援を打ち出すことにした。日本の支援額は2021~25年に約700億㌦となる。

 途上国側には、これまで二酸化炭素(CO2)を排出しながら経済成長を果たしてきた先進国への不満が根強い。排出量の削減には、新技術の導入などで大きなコストが掛かるため、先進国側に大規模な支援を要求する根拠となっている。

 途上国の脱炭素化を進めるには、資金だけでなく技術支援も欠かせない。首相は石炭火力について、アンモニアを混ぜて燃焼させるなど排出量削減に向けた先端技術の普及に力を入れる方針も示した。

 地球温暖化を防ぐには、世界のCO2排出量の3割近くを占める中国をはじめ、インド、途上国の排出量を減らす必要がある。しかし、インドのモディ首相は70年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すと表明。50年までの実質ゼロを掲げる日米欧などの主要先進国との溝が改めて鮮明になった。

 中国やロシアは60年までの達成を主張している。これでは温暖化を防止できない。先進国と途上国は危機感を共有することが求められる。

 専門家は、産業革命前と比べた世界の気温上昇幅を1・5度に抑えるには、世界全体で50年までに排出ゼロを実現する必要があるとしている。だが各国が提出した削減目標を積み上げても、今世紀末の気温上昇は約2・7度に達し、異常気象や海面上昇のリスクがさらに高まる恐れがある。

 このため、先進国では30年の削減目標を引き上げる動きが相次いでいる。日本は今年4月、13年度比で46%削減する中期目標を決定し、それまでの26%削減から大幅に上積みした。

 中露やインドも目標を前倒しすべきだ。温暖化の影響による自然災害は、こうした国々にとっても無縁ではない。中国・長江流域では近年、記録的な大雨による洪水が頻発している。温暖化対策が不十分であれば、結局は自分の首を絞めることにもなりかねない。

 原発の活用を拡大せよ

 日本は先月、新たな「エネルギー基本計画」を決定した。脱炭素化に向け、30年度の電源構成で再生可能エネルギーの比率を19年度実績の約2倍となる36~38%に引き上げる一方、石炭火力を19%としている。

 石炭火力は、発電量が不安定な再エネ拡大を進めるための「調整電源」としているが、CO2排出量の多い石炭火力に対する国際社会の目は厳しい。石炭火力を減らしつつ、電力の安定供給を目指すには、CO2を排出しない原発の活用を拡大することが欠かせない。