綻ぶ共産党の「赤旗」活動
どうなる?共産党。今、共産党に危機が起きている。創立以来、共産党が維持してきたスタイルの劇的な転換である。具体的には、共産党機関紙「しんぶん赤旗」の電子版の発行、そして、SNSでコミュニケーションを取ることによるこれまでの民主集中制の転換などである。加えて、志位和夫委員長が入院・手術しているなどの事態もある。
今月2日より、「赤旗」の電子版の発行が始まった。スマートフォン、タブレット、パソコンでも「赤旗」が購読できるようになった。しかし、「赤旗」電子版の発行は、故宮本顕治委員長が規定した多数者革命路線、民主連合政府樹立から共産主義革命へという路線の、根本からの見直しを迫るものである。共産党は、「赤旗」などの機関紙の読者と、配達・集金活動で結び付き、読者を訪問し、署名活動への協力を求めたり、家の外壁への共産党のポスター貼りを依頼したりしながら、「日本国民の心を変え」、共産党に入党してもらい、多数派となって、民主連合政府を樹立し、さらに共産主義革命を成し遂げるというのが路線であった。
しかし、「赤旗」電子版読者には、地域・職場・学園にある支部が結び付くことはできない。支払いはクレジットカードのみである。共産党中央委員会が直接メールなどで結び付くことになれば民主集中制の組織原則が崩れる。そもそも共産党は、機関紙中心の活動を組織原則としてきた。すべての活動原則を述べた文書の大幅改訂が必要である。
現実的な問題としても、早朝「赤旗」日刊紙配達員への手当(1部につき毎月〇〇円という計算)が減り、今ですら不足の早朝配達員の確保がさらに困難になる。早朝配達は、数時間で数万円の手当が普通であるが、部数が減ると手当が減り、学生やパートの配達員が集まらなくなる。配達が不可能になると、電子版での購読への切り替えを依頼する。
ご存じない方もたくさんいると思うが、現在でさえ、早朝日刊紙の配達体制が取れずに「赤旗」が1日遅れで郵送で届く地域が日本にはたくさんある。今後、「赤旗」日刊紙の郵送地域が日本全国で増加していくことが予想される。そうなると、地域の党員との結び付きが弱くなり、気軽に署名や募金のお願いに行けなくなる。また、地域の共産党が地域の政治問題などのチラシを折り込みなどで配布できなくなり結び付きが弱くなる。
若い党員の間で、SNSによる横の連絡が広がっている。共産党や日本民主青年同盟は、支部を基礎に地域・職場・学園で共産党などを代表して活動する組織から、興味のあるテーマを共有する青年同士が交流する組織へと変わりつつある。民主集中制が緩みつつあると言える。
昔の共産党は、違う支部や組織に所属する党員同士が交流することは分派活動として厳重に禁止され、違う組織の党員が住所や電話番号を交換することさえ禁止されていた。
電子メディア、SNSの発達の中で、共産党は、民主連合政府樹立のための基本戦略の見直しを迫られることになるだろう。