暴力教師と生徒の自殺 子供を守るのが親の義務
組合恐れ担任に贈り物
月刊ビューポイント7月号に、弁護士の秋山昭八氏の「『いじめ』は犯罪行為である」という論文があった。
不登校の小中学生が3年連続の増加で12万6009人となり、児童生徒1000人あたりの割合は12・6%、「過去最高」の記録と出ていた。
さらに、2015年度に認知されたいじめは、小学校で15万1190件、前年より2万8456件の増加で、これも過去最高とのこと。中学校は5万9422件で6451件の増加。高校は1万2654件で、1250件の増加という結果を示しておられた。
自殺事件も小中高校から報告された214人のうち、9人にいじめの問題があったという。
公立小中高の学校教育の中で、これらの異常な現象に、なぜ子供が自殺する前に教師や父母たちが問題にしないのか、不思議に思われる。
かつて私も子供の自殺事件で、ある母親からの相談を受けたことがあった。
中学3年生の次男が、高校受験を前にして、自宅で首を吊(つ)って自殺したという事件だった。
高校受験は少年の人生にとって、一つの大きな節目である。なぜ、その時期の自殺だったのか。私は不可解に思いながら、母親の話を聞くことにした。
札幌近郊に住む大学教授一家に起きた悲劇だった。死んでからの相談では意味がないと思いつつも、なぜ少年が自殺したのか、その理由だけでも聞こうと私は母親に会った。
少年の父親は国立大学教授だったが、教授界の政治活動を嫌い私立大学に転勤したという。母親は夫から教育界の異常な政治的偏向を聞いていたので、一切のPTA活動をせず、ひたすら、担任教師(男性)には、中元・歳暮の礼を尽くしていたと話した。しかし、それが却(かえ)って悪かったと私は母親に話した。
少年に兄がおり、入浴の度に弟の体に打たれた痣(あざ)が各所にあり、兄は母親に告げていたという。しかし、母親はそれを聞きながら、一層、担任教師に贈り物を届け、問題にしなかったというのだ。
私は残念ながら、それが大きな間違いだったと母親に話した。息子1人を失い気の毒ではあったが、母親の弱さが次男の命を奪ったのだ。原因は教師の暴力だが、母親は黙視したことになる。担任教師はアルコール中毒と後で知った。
戦後の日教組という異常な政治集団を背景に教育界が狂った、一つの悲劇だった。
昔、「母は強し」という言葉があった。子を守る母親は強くなくてはならない。
大学教授の夫から聞かされ、教師たちを恐れた母親の間違った判断が、大切な我が子を自殺させるという大きな過ちを犯してしまったのだ。
教師に責任問う強さを
異常な教師から、子供を守るのが母である。
昔も今も、母は「子を守る」という強さを持たなくてはならない。それが親の義務である。「母は強し」が死語になってはならないのだ。
故事に「孟母三遷」という言葉がある。子育てのために孟子の母親は、3度住居を変えたという。
それ程に、我が子の将来を考えるとき、父母は強い決断が必要であり、時には父親が立ち上がることも大切であろう。
教師の暴言、暴力にたえられず少年は自殺した。我が子を暴力教師から守るのは親しかいないのだ。教師の責任を問う強さを親が持つべきであり、子育ては親の責任なのだ。
子供の自殺が異常に多いという秋山昭八弁護士の指摘と意見を、教育関係者は真摯(しんし)に受けとめ、その対策を真剣に考えるべきであり、政治家もまた少子化時代の今、これまでにも増して原因究明が必要だろう。





