夜間中学にもっと光を! 100万の義務教育未修了者
厳しい自主校の公立化
皆さん、夜間中学というものをご存知だろうか。
現在、日本全国に35の公立夜間中学があります。東京に8校、大阪11校という具合で、最盛期には全国に87の夜間中学があったと言われています。
戦前から戦後にかけて、戦争や貧困、差別など様々な事情から義務教育を終えることができず、大人になってから夜間中学に通い始めたというひとが少なくありません。
もちろん中学は義務教育。国家が無償で教育してくれることになっているから、授業料は無料です。
実は私の知り合いが埼玉県の川口市で、夜間中学のボランティアをしています。しかし川口市の場合は、地方自治体から認められた中学ではなく、有志が資金を出し合って運営をしている、いわば”自主夜間中学”です。全国にはこのような自主夜間中学が20校ほどあると言われています。
開校をしたのが、1985年(昭和60年)というから、約30年の歴史をもちます。週に2回、火曜日と金曜日、公民館などを使って、授業は行われています。日本人の場合は、小・中学校の国語、算数、英語などの基本的な内容を勉強し、外国人の場合は、基礎的な日本語や会話などの勉強をしています。
自主夜間中学の設立者たちは、それを公立夜間中学にすべく運動を続けています。しかし政府や地方自治体にその声は届かず、公立中学への道は厳しく険しいというのが現状です。
従って今日まで、“自主夜間中学”として会員たちのポケットマネーで運営をしてきたことになります。そのご苦労たるや、大変なものがあったに違いありません。
つい6月には、福島市に自主夜間中学が誕生したと、日本経済新聞は伝えています。東北・北海道には義務教育の未就学者も多い。にもかかわらず、これまで東京以北に公立の夜間中学は一校もありません。福島の自主夜間中学がその起爆剤となることを期待したい。
昨年、川口市に住む81歳の方が夜間中学を卒業し、新聞に大きく報道され、話題になったことがあります。その方は、川口から2時間かけて東京・荒川区の夜間中学に通い、卒業を果たされたとのことですが、「よくぞ頑張った」とほめてあげたい。
川口の“自主夜間中学”でボランティアをしている友人によれば、学びに来る生徒の多く、7~8割は中国人などの外国人が多く、日本語の勉強がその目的だという。彼らからすれば、いわば無料で学べる日本語学校。大変重宝なものであることは確かです。
多くの外国人が入り乱れるようになった国際化時代とあって見れば、それもやむを得ない。むしろ日本を知ってもらう、日本を愛してもらうという観点から見て、歓迎すべきことかもしれません。しかし、それだけで満足していていいのだろうか。
現在、義務教育の未修了者は全国に100万人を超える人がいると言われています。その人たちに勉学の道を開いてあげるために、夜間中学への道をもっと広くしてあげてもいいのではないか。
あるいは自主夜間中学を“公立”の中学に引き上げ、予算を付けてもいいのではないかと思う。
重要な小学校の教育
知り合いの講師は「長く自主夜間中学の運営に携わってみて感じたのは、初等教育の大事さ」だといっています。
よく鉄は熱いうちに打てといいます。小学6年間の教育で、小学生をどう教育していくか。その6年間の教育で、子供たちの一生が決まっていく場合もあるというひともいます。
にもかかわらず日本の場合、子供たちをどういう人間に育てていくのか、その方針や方向性、方法がきちんと確立されていない。
小学校教育はとても大事です。その人の一生を左右するかもしれない期間だからです。教師にもっと権限を与え、のびのびとした教育をさせる必要がある気がします。
夜間中学にもっと光を当て、初等・中等教育の在り方を考える一助にしたいものです。