FC琉球に“小野効果”


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 サッカーJ2リーグのFC琉球に加入した元日本代表MFの小野伸二選手(39)が17日、初めて試合出場した。夏休みに入ってからの小野選手の琉球加入はビッグニュースで、沖縄県内は小野フィーバーに包まれた。

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試合前には前代未聞の長蛇の列ができた=17日、沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 FC琉球のホームゲームの前売り券が初めて売り切れとなった。クラブとして過去最高の約9千人を大きく上回る約1万2千人を記録。沖縄市のスタジアム周辺の駐車場は、試合が始まる何時間も前から満車状態で、周辺道路では大渋滞が発生した。

 それだけではなかった。会場についたものの、スタジアムに入るまで長蛇の列ができ、試合開始1時間半前の時点でも入場するまで30分以上かかった。

 この日の相手は横浜FC。元日本代表選手を多くそろえている人気クラブで、新加入の小野選手が対峙する相手に不足はない。キングカズことFWの三浦知良選手(52)はベンチ外だったが、小野選手と並ぶ「ファンタジスタ」として知られる中村俊輔選手(41)はベンチ入りし、練習時間には元気な姿を見せてくれた。フランスでのプレーが長いMF松井大輔選手(38)はフル出場した。

 スタジアムの雰囲気が最高潮に達したのは、後半20分。小野選手がピッチに入った瞬間だ。試合は1-3と劣勢だったが、テクニックを生かしたトラップやパスでファンを魅了。ピッチを縦横無尽に走り回り、コーナーキックやフリーキックでは精度の高さを改めて見せた。

 小野選手の出身地である静岡から観戦に来た家族の姿もあった。クラブ関係者は初めての満員のスタジアムの光景に目を細めながら、「小野が加入したことで、若手選手の手本となり、チームの底上げにつながる」と喜ぶ。チケット収入やグッズの売り上げを含めた経済効果にも期待が膨らむ。

(T)