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沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 最近、心温まる記事が沖縄2紙に連続で掲載され、久しぶりに朝からよい気持ちになった。二つとも、県内の17歳の高校生が絡んだ人助けのニュースだ。

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心暖まるニュースが上位を占めた沖縄タイムスの閲覧ランキング

 4月24日、伯父の告別式に向かう途中でなくした飛行機代6万円を、名乗らずに貸してくれた男性に「お礼が言いたい」と。那覇市の沖縄工業高2年、崎元颯馬(そうま)さんのそのメッセージが5月10日付で地元紙に掲載されると、埼玉県三芳町の医師、猪野屋博さん(68)が名乗り出た。2人は5月21日、同校で再会を果たし、崎元さんは感謝の言葉を伝えた。猪野屋さんはインターネットに掲載された記事を同僚に教えてもらったという。

 猪野屋さんは沖縄で中高を卒業し、県内の病院に務めた経歴があったことから、若者の純粋な気持ちを汲(く)み取ることができたという。崎元さんは「自分も、困っている人を助けられるような大人になりたい」と話した。

 もう一つは、人命救助のニュースだ。ゴールデンウィーク中に埼玉を訪れていた那覇高校3年の玉城弘次廊(こうじろう)さんは、近所の火災に気付き、家の外壁の雨どいを伝って2階までよじのぼり、少女を窓から抱きかかえて救出した。

 那覇高の上原源三校長は「自らの危険を顧みず、しかも冷静に対処したことに、本校の生徒として誇りに思う」とコメント。那覇市から感謝状が手渡されると、玉城さんは「将来は人助けができる仕事をしたい」と話した。

 二つのニュースはケースこそ違うが、当事者の将来に影響を与えるであろう大きな出来事となった。

 普段は基地問題が紙面をにぎわす沖縄2紙だが、これらのニュースは大きく扱われ、ネットの閲覧ランキングもしばらく上位を占めた。読者はこうした明るい話題を求めていることの証左ではないか。

(T)