松坂ロスを乗り越えて
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
桜が見頃を迎えた春季のプロ野球キャンプはいよいよ終盤を迎えた。練習試合など実戦形式のトレーニングがファンを魅了している。ここ数年、Bクラスに沈む中日ドラゴンズは、昨年のシーズンでカムバック賞を受賞した松坂大輔投手(38)、さらに、ドラフトで最高評価を受けた根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)という2大スターの動向が注目を集めている。
だが、松坂投手はキャンプ入りしてすぐ、一時渡米。根尾選手は別の2軍キャンプ地で練習をしている。それでも1軍キャンプ場の北谷球場に2人がいないにもかかわらず、2月の上旬には多くのファンが詰め掛けた。過去、中日のキャンプを何度も訪れたが、序盤からこれだけにぎわった例はない。
グッズの売り上げもすごい。関係者によると、初日だけで1千万円を突破。昨年までは、テント1張だった売り場は4倍に拡張された。それでも、ファンでごった返していた。やはり、一番人気は松坂投手と根尾選手に関するものだという。根尾選手を見ることができなくても、グッズ目当てのファンの姿も目に付いた。そして、今シーズンから与田剛新監督(53)が指揮を執るが、ファンサービスへの意識が高い。
ところが、人気球団への脱却に向けて期待が高まる矢先、衝撃が走った。松坂投手が球場へ向かう途中、ファンに囲まれ右腕を引っ張られ、負傷したのだ。松坂投手の沖縄キャンプ離脱が決まると、序盤非常ににぎわっていたキャンプの熱気がなくなるのを感じた。最初の練習試合は韓国球団相手に圧勝していたが、国内のライバル相手に苦しい試合が続いている。期待の新人・根尾選手だが、しばらくは2軍での調整が続きそうだ。
「この際、新加入や成長株の選手に注目してみるのもまた一興だ」とあるファンは語った。
(T)