本島と離島で分かれた「民意」


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 10日に投開票された参院選沖縄選挙区では、元宜野湾市長で革新系新人の伊波洋一氏が、現職で沖縄北方担当相の島尻安伊子氏に大差をつけて初当選を果たした。

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相手候補の当確を受け厳しい表情の島尻安伊子氏

 沖縄では6月の県議選に引き続き、普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設が最大の焦点となった。反基地感情が高まる中で、子供の貧困対策や沖縄振興など「暮らしを良くしていきたい」という島尻氏の訴えは届かなかった。

 島尻氏は昨年10月の内閣改造で沖縄担当相に就任した。沖縄振興で実績を積み参院選での当選につなげたいという期待があったが、米軍人・軍属による事件事故が相次いだことや地元メディアによるネガティブな報道も重なり、厳しい逆風となった。

 投票が締め切られた午後8時、支持者から温かい拍手で迎えられた島尻氏は、テレビ各局による伊波氏当確のテロップを確認した後、「最初から島尻、波高しと言われていた。乗り越えようと頑張ったが、それに応えられなかった」と支持者に感謝の意を示した。

島尻安伊子氏

敗戦の弁を述べる島尻安伊子氏

 「辺野古容認」に転じたことが「敗因か」と記者団に問われた島尻氏は、「そう思っていません」ときっぱり。「今後の推移を見守りたいと述べた上で、自身の身の振り方については「まったくの白紙」と述べた。

 島嶼(とうしょ)県の沖縄ならではの興味深いデータがある。離島の市町村では久米島町など数カ所を除き、ほとんどで島尻氏の得票が上回った。自衛隊配備計画が進む先島地方の宮古島市、石垣市、与那国町でも島尻氏が勝った。基地問題がクローズアップされた沖縄本島では伊波氏、中国の脅威に晒(さら)されている先島地方など離島地域では島尻氏が支持される傾向が顕著に表れた。(T)