木育教室、思い思いの発想で積み木の街づくり

 金沢市内の幼稚園で「木育(もくいく)教室」が開かれた。園児たちに木と触れてもらい、その良さを知ってほしいと、一般社団法人石川県建築士会青年委員会が開いた。2種類の木片を持って重さを比べ、チップの匂いをかいで違いを学んだ。最後に二つの木片を接着剤で合わせて、ストラップを完成させた。園児たちには貴重な体験となった。(日下一彦)


石川県建築士会青年委員会、金沢市の伏見幼稚園で開催

木育教室、思い思いの発想で積み木の街づくり

木育教育に参加した年長組=金沢市円光寺の伏見幼稚園(日下一彦撮影)

 木育教室が開かれたのは、金沢市南部の円光寺3丁目にある伏見幼稚園(幼稚園型認定こども園)で、年長組の園児33人が参加した。同教室は青年部が今年度から実施し、この日は2回目の開催となった。午前10時、園児たち33人を前に同部会の橘裕之委員長が「木はどういうところに使われている?」や今話題になっているSDGs(持続可能な開発目標)について分かりやすく話した。

 続いて三つのグループに分かれて、お待ちかねの体験活動に取り組んだ。橘さんら同会の5人が指導し、まず積み木を組み立てて街づくりに挑戦した。それぞれのテーブルには道路や川が描かれた図が置いてあり、そこに積み木でビルや家を配置していく。「よし、ビルをつくろう~!」「川があるしダムもつくる?」など、思い思いの発想でイメージを膨らませていた。

 地図の上には、一辺2㌢の立方体や屋根型の積み木で、平屋や2階建て、4階建ての家並みが出来上がった。積み木の組み立てはお手の物とあって、十数個積み重ね、高い塔を組み立てるグループも。途中、崩れても何度もやり直して塔を完成させていた。

 青年部会が用意した映像には、「つみきで未来の街を作って建築士になっちゃおう!~街づくりの魅力発信プロジェクト~街を作るのはとてもむずかしい……だけど、つみきで練習してみよう!」と映し出され、未来を担う園児たちの中から建築士が出てきてほしいとの心意気も伝わってくる。

木片の重さ比べで違い体感、チップの匂いに好き嫌いも

木育教室、思い思いの発想で積み木の街づくり

3種類のチップの匂いの違いも体験=金沢市円光寺の伏見幼稚園(日下一彦撮影)

 木片の重さの違いを体感する実験では、長さ30㌢ほどのヒノキとスギの木片を持って、重さの違いを比べた。記者も試しに持ってみると、ケヤキはズシリと重たい。比重の違いが分かる。園児たちもその重さにビックリしていた。丈夫なケヤキは建築用材として古くから神社仏閣などに用いられてきた。彼らも大きくなると、その違いが分かるだろう。ちなみに木材はいずれも県内産が使われ、地元の特徴を教えている。

 続いて、三つの容器に入ったチップの匂いを体験した。スギやヒノキ、モミノキが入っており、同じチップでも匂いが全然違うことに気付く。スギはほとんど匂いがしない。モミノキはかすかにスッキリした清涼感があって落ち着く香りだ。ところが、園児たちに不評だったのがヒノキ。フタを開けると、鼻を突くような強い刺激臭に、「クサイ、イヤだ」の声。この年齢には、まだ“異臭”でしかないようだ。小学校の高学年頃には、ヒノキ風呂の良さが理解できるだろうか。

 同委員会では、今後も要望があれば施設や学校に出掛け、普及に努めていく。12月にはもう1カ所、市内の保育園で開催が予定されている。