新学期と感染拡大、対策強化し学びの場を守れ
新型コロナウイルスの感染「第5波」の中、子供たちへの感染が広まっている。これから2学期が本格的に始まるが、感染対策を強化して子供たちの学びの場を守っていきたい。学校での感染が広まり、学級閉鎖あるいは学年閉鎖になった場合は、オンラインを使うなど学びを続ける工夫が求められる。
文科省がガイドライン
新型コロナの10代以下の新規感染者が1週間で3万人を超えた。感染力の強いデルタ株が9割を 占めるようになり、これまでと様相が変わってきている。
児童生徒同士が接触する機会の少ない夏休み期間中でも感染が拡大している現状からすると、学校が始まってさらに拡大する恐れは十分にある。学校関係者は強い警戒心を持って適切な感染対策を講じ、児童生徒を指導してほしい。
子供が重症化するケースは少ないが、油断はできない。子供から親や教職員に感染することも懸念される。教職員でワクチン接種が終わっていない場合、優先的に接種できるよう自治体側が手配することも必要だ。
緊急事態宣言が延長・拡大される中、夏休みを延長した県もあるが、9月1日からはほぼ全国で2学期が始まる。それを前に文部科学省は、学校での感染者が確認された場合の対応ガイドラインを発表した。
昨春のような一斉休校は要請しないが、ガイドラインで「学級閉鎖」「学年閉鎖」「学校閉鎖」の3段階の基準を示している。同じ学級で2~3人以上の感染者が出たり、感染者が1人でも周囲に風邪のような症状の人がいたりする場合は「学級閉鎖」を検討する。閉鎖期間は5~7日間としている。
また同じ学年で複数の学級閉鎖が出た場合は「学年閉鎖」、複数の学年閉鎖で「臨終休校」を検討するよう求めている。
感染者が出た場合、これまでは学校と保健所が協議して対応を決めていた。しかし感染拡大で保健所の業務が逼迫し、対応が遅れる恐れがある。保健所の判断を待たずに学校側がガイドラインに沿って迅速に判断するよう求めている。
濃厚接触者の特定でも、保健所が多忙な場合、学校や教育委員会がリストを作成する。マスクを着けずに1㍍以内で会話したなど、濃厚接触者の基準も示した。迅速な対応でクラスター(感染者集団)が発生しないようにしたい。
感染予防には、換気の徹底を心掛けたい。暑い日がまだ続くが、エアコンを使用している時も適切な換気が必要だ。
保育園や部活動、学生寮などで感染事例が相次いでいるとの報告がある。部活動の人数を制限するなどの取り組みが必要になってくる。2学期は学校行事が多い時期だが、行事を縮小したり分散したりして開くなど、児童生徒が密な状態にならないよう工夫が求められる。
オンライン学習の準備を
学級閉鎖や学年閉鎖となった場合を想定し、準備しておくことも必要だ。オンライン利用の環境は、この1年半ほどでかなり整えられているはずだ。オンライン学習自体、新しい学びの経験となるに違いない。自宅学習用の教材の充実も大切だ。