オンライン授業の現状と課題などを語り合う
「ROJE関東教育フォーラム」開催
変わりゆく時代 変わりゆく大学~問い直そう!大学の役割~(1)
NPO法人日本教育再興連盟主催の「ROJE関東教育フォーラム」が5月15日、YouTube上でZoomを使った形式で開催された。コロナ禍の余波で昨年に続きオンライン形式で実施された。初等・中等教育の改革が実施される中、今年は「変わりゆく時代 変わりゆく大学~問い直そう!大学の役割~」と題してフォーラムが行われた。コロナ禍によって前例の無い生活を余儀なくされている学生たちの現状とオンライン授業をはじめとする大学の在り方、意義、今後の目標などを語り合った。
慶應大2年の角田氏、孤立を感じるオンラインのみの授業
最初に慶應義塾大学環境情報学部2年の角田雅治氏が大学の現状と学生へのアンケート調査の結果を公表した。
文部科学省のデータ(2020年7月1日時点)を示し、オンライン授業の比率が23・8%、対面授業が16・2%、対面とオンライン併用が60%と大学教育の場でオンライン授業の導入率は23%にとどまっている。オンライン授業は国立大で34・9%、公立大学で21・6%、私立大学で22・7%と私立大学の整備遅れがやや目立つ。
早稲田大学が発表したオンライン授業に対する学生の反応では、メリットとして「自宅でできる」「自分のペースで学習できる」「通学時間を学習に活用できる」などを挙げている。また、改善してほしい点として「課題が多い」「友達と一緒に学べず孤立感を感じる」「目耳肩に疲れを感じる」などの声があった。
ROJE代表理事の隂山氏、小中高のギガスクールへ対応を
これを受けて日本教育再興連盟代表理事の隂山英男氏が話した。
コロナ禍が影響しているとはいえ「突然の大きな変化がもたらされた。大学関係者の総力を挙げて、いかに良い形に持っていくか、特に問われる今年の課題だ」また、インターネットを使った小中高校生のオンライン授業について「GIGAスクールも今年後半に始まる。3年後にはGIGAスクールで学習した子供たちが大学に入学する時代になる。大学側の対応が急がれる。
日本の経済の在り方からすると、情報通信技術(ICT)は得意な部門だった。しかし、現状は経済協力開発機構(OECD)中でも後れを取っている。予算の面では、国段階でちゃんと付けられているが、都道府県段階の予算になった時、首長の考え、指針で、それ以外に使ってもいいですよ、ということになっていて、子供たちのコンピューターの費用が道路の敷設・補修に使われていることも多い。
学校側から見ると、コロナ禍の中で、1人1台タブレットが進められている。だが、教育現場での課題も多く、ICTへの負担感が強い。雑務に追われて、タブレットが山積みになって、開封すらされていない所もある。梱包を解いて、使える状態に設定できる人材が不足している。学校を一方的に責めることはできないが……。
その後、早稲田大学人間科学学術院人間科学部教授の森田裕介氏が大学総合研究センターの副所長の立場を踏まえて、オンライン授業の優位性について情報提供を行った。また、対面授業の優位性について武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長の伊藤羊一氏が語った。パネルディスカッションでは東京大学公共政策大学院・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授の鈴木寛氏が加わり意見交換が行われた。(森田裕介氏、伊藤羊一氏、鈴木寛氏の発言は後日詳報)