科学捜査を体験、「キミも名探偵!」になれる

富山市科学博物館で開催中の「科学捜査展」が話題

 富山市科学博物館で開催中の特別展「科学捜査展SEASON2-科学の力で真実を解き明かせ-」では、最新の科学技術を駆使して難事件を解決する模擬体験ができる。タブレットを使い、事件現場に残された証拠や目撃者の証言を集めて事件解決までを体験するコーナーが人気で、子供たちにとってはアニメ「名探偵コナン」になったような気分。保護者もテレビドラマ「科捜研の女」など話題の科学捜査の一端が味わえるとあって、話題になっている。(日下一彦)


捜査手帖に見立てたタブレットを使い証拠物件を収集

科学捜査を体験、「キミも名探偵!」になれる

タブレット端末をかざして情報収集する小学生=富山市の市科学博物館(日下一彦撮影)

 会場の科学館2階には各種の鑑定手法を紹介する展示と、模擬事件現場で実際に捜査を体験する二つのコーナーがあり、こちらは親子連れで賑(にぎ)わっている。発生した事件の概要は次の通りだ。九段町ヒルズのある九段町交差点(架空の場所)で、午後8時ごろバイクと車の接触事故が発生した。バイクは転倒し、運転手は救急車で病院に運ばれたが、意識が戻っていない。機動捜査隊が到着した時には、事故を起こした車はすでに逃走してしまっていた。事故現場に残された痕跡から事故の全容、さらに犯人を割り出そうという設定だ。

 捜査では事故現場での証拠採取、目撃者からの聞き込みを行う。ここで活躍する必需品が捜査手帖(てちょう)に見立てたタブレット端末で、それを使って事故の究明と犯人を捜していく。

 コロナ対策のため人数制限があり、捜査に当たれるのは毎回8組限定で、与えられた捜査時間は20分。タブレットを手に、現場に残るタグにタブレットをかざすと、情報が入手でき、真相究明に行き着く。コナンファンの子供たちならずとも、保護者たちも興味津々のようだ。市内から訪れた親子連れは、「家族でいつもコナンを見ているので、犯人捜しをみんなでできるのは楽しい」と、情報収集に余念がなかった。

情報を基に犯人へ、難事件解決へ保護者も興味津々

 スペースの一角を仕切って見立てた事故現場には、厚紙で作られたバイクが転倒しており、倒れた被害者やバイク、車の破片が飛び散り、悲惨な現場が再現されている。そこに捜索の手掛かりがある。例えばバイクのシートや前輪には、青いタグが付いていて、そこにタブレットをかざすと証拠物件を収集でき、事故の経緯や犯人逃走の手掛かりなどが得られる仕組みだ。

 ただし、タグが幾つかあって、全部事件に関わるとは限らない。そこで必要なタグだけを探し出して情報収集しなければならない。その情報が正しいか否かは画面に表示される。限られた時間内での収集になり、スリリングな展開になる。

 情報を収集していくと、「重要参考人」のコーナーがあり、ここでは容疑者と被害者、目撃者の証言を聴取する。それぞれを聞き取って、正しいか否かを判断することが求められる。一通り話を聞くと、「捜査手帖を台の上に置いてください」と指示され、まるで捜査員になったかのような気分になるらしい。「謎解きできると、『科捜研の女』のマリコさんになったようで、気持ちいいね」との保護者の声も。ちなみにマリコさんとは、沢口靖子さん演じる主人公の榊マリコのことだ。

 何とか犯人にたどり着くと、独特のチャイムが鳴る。最後に「お友達にはくれぐれも犯人は明かさないでくださいね。これから体験するお友達も多いので」とアナウンスされた。

例年入館者数の少ない2月、3月も今年は科学展で盛況

 同展は国立科学技術館が企画し、必要なグッズを準備して貸し出し、全国各地の科学館で開催している。富山市科学博物館では、2016年夏に初めて開かれた。今回の「科学捜査展SEASON2」は2回目で、本来、昨年夏に予定していたが、コロナ禍で延期になっていた。2月6日に始まり、期間中「火災事件」「盗難事件」と続き、今回の「交通事故」が最後の事件で、担当者によると最も難解だそうだ。

 一方、鑑定手法紹介コーナーには指紋や毛髪、靴底などの鑑定手法をパネルや特殊な機器で解説している。靴底鑑定では静電気を利用してほこりを吸着する手法を学べる。

 「2月、3月のこの時期は入館者が少ないが、今年は科学展で盛り上がり、これまでで最も多い」(同館)とのことだ。

 同展は午前9時~午後5時。入館料は大人530円、高校生以下無料、特別展は大人100円が別途必要。問い合わせ=電話076(491)2123。