OIST、コロナ禍乗り越え4ヵ月遅れの入学式
18ヵ国・地域から過去最多の62人、応募数1126人の狭き門
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は1月15日、第9期生の入学式を沖縄県恩納村のキャンパス内で行った。日本国内では珍しく9月入学を採っているが、今年はコロナウイルス感染が世界的に拡大している影響で、延期を余儀なくされてきた。コロナ禍を乗り越えて来日し、入学が認定された新入生たちは今後5年間、地球規模の課題に取り組む。(沖縄支局・豊田 剛)
英留学生グウチさん、防疫体制に安堵、沖縄の魅力を発見したい
今年度入学する学生は世界18カ国・地域から62人。2012年に第1期生を受け入れて以来、過去最多人数となった。世界中から1126人の応募があり、狭き門を通過できた新入生からは喜びの表情が見て取れた。
それもそのはずだ。大半を占める学生は外国人で、コロナ禍の影響で9月に入学できず、1月になってようやく、学生がそろってきた。そのうちの一人、イギリス出身のエイミー・グウチさん(23)は、「イギリスでは日本以上にコロナウイルスの感染者が報告されており、ロックダウンで厳しい外出制限措置が取られている。変異種が猛威を振るい始める前の12月に出国できたことは、ラッキーだった」と素直に喜ぶ。
海外からの留学生は日本入国後、2週間、都内のホテルに滞在し、3度のPCR検査で陰性確認した後、1月に入って沖縄入りした。「OISTは防疫がしっかりしていて、スムーズに入学手続きが取れた」と安堵の表情を浮かべる。
エイミーさんは地元の大学を卒業した後、大好きな日本で学ぶことを夢見た。公用語が英語のOISTはエイミーさんの勉学の姿勢にふさわしい環境だった。「沖縄は風光明媚(めいび)で、人々の心も温かい。学生生活を通して魅力を発見したい」と笑顔で話した。
沖縄に貢献したいと濱本さん、日本人も最多の13人、新研究者は15人
新入生の日本人は13人で過去最多となった。地元沖縄出身の濱本(はまもと)樹さんは、大阪大学を卒業した後、沖縄に戻り、昨年4月から入学準備期間としてOISTで生活している。「専門分野の垣根を越えて研究できること」が入学の決め手となった。「在学中は沖縄に貢献できるようなことをしたい」と抱負を述べた。
また、新たに15人の研究者も迎えた。1500人を超える応募の中から選抜された。
グルース学長が祝辞 「教育システムと技術革新の強化、 地元発展に貢献」
ピーター・グルース学長は祝辞で、「科学の役割はこれまで以上に求められており、OISTは役割を果たしていく」と力強く述べた。「世界が急速に変化し続ける中、私たちは、気候変動、持続可能なエネルギーの提供、人口増加に対する食料と水の供給、さらには、人々の健康、生態系の維持など、さらに多くの重要な課題に取り組み続けなければならない。教育と研究は、この取り組みにおいて不可欠だ」
また、同学長は、こう強調した上で、「OISTが日本の教育システムとイノベーション(技術革新)の強化、沖縄の持続的発展のために貢献していく」と決意を述べた。
コロナウイルス対策、教育イノベーションの分野で、関係者らのOISTへの期待は高まる一方だ。







