小・中・特別支援学校が農業活動の記録を発表

「第37回秋田県学校農園展」で、感想文の随所に感謝の思い

 「たくさんの努力があって、おいしいお米や野菜ができることに気付いた」「花を植えることで地域の人たちを笑顔にしたい」「将来の仕事に、やりがいのある農業を考え始めた」――。このほど大館市の種苗交換会で発表された第37回秋田県学校農園展での感想文の一コマである。(伊藤志郎)

活動通じふるさとを再確認、郷土愛育成や地域活性化に期待

 秋田県では学校農園を営んでいる小中学校が多い。同展には、中学校1校、小学校16校、特別支援学校6校の計23校が活動記録を発表した。1枚の大きな用紙に、苗植えや除草、収穫、加工・販売を楽しんでいる子供たちの姿が、写真や観察記録、文字や絵などで分かりやすくまとめられている。いずれも、農業を自分のこととして捉え、農業に携わる人への感謝の思いや地域とのつながりが感想文の随所に見られた。

小・中・特別支援学校が農業活動の記録を発表

全校でひまわり活動に取り組む大館市立釈迦内小学校の活動記録。手前下はひまわりの実=大館市・樹海体育館

 大館市立釈迦内小学校は、全校で「ひまわり活動」に取り組む。休耕田を借りて「地域の人たちを笑顔満開にしたい」と始めた活動で、今年で9年目。地域やいろいろな企業と協力し、全部で約1ヘクタール、四つの畑で育てている。

 4月の「ひまわりスタート集会」に始まり、種まきから草取り、収穫と続き、取った種は工場に送り黄金色の油にしてもらい販売する。11月の感謝祭では、お世話になった人を招待し、だまこ鍋を一緒に囲み楽しいひとときを過ごした。大量に出る搾りかすは秋田県立大学の協力を得て肥料とし、トマト、スイカ、枝豆、葉物野菜、花壇の花に与えている。

 6年女子の渡部さんは「6年間にたくさんのことを学びました。『協力』『工夫』『感謝』の大切さ。気が遠くなるほど広いひまわり畑も、みんなで力を合わせ一緒に汗を流して働くことで心が一つになり、終わった時には、みんなの力をあわせるすばらしさを感じます。大変なときは『がんばれ』と温かいはげましの声をかけてくださった、地域の方々への感謝は絶対に忘れません」という。

 在トンガ日本大使館の要請で、ひまわりの種をトンガ王国の小学校に分け国際交流にもつながった。

 米とリンゴを栽培したのは由利本荘市立西目小学校。西目高校のお兄さん、お姉さんにサツマイモ、キュウリ、ミニトマト、エダマメの育て方を教えてもらっている。3年女子の木内さんは「大きくて真っ赤なリンゴを育てるために、受粉や摘果作業など沢山の人の手と愛情が必要だと知った。わたしも家族のみんなに、いつも沢山の愛情をもらってここまで大きくなったんだと改めて気づきました」という。

 一方、潟上市立飯田川小学校では1、2年生がサツマイモ、3年大豆、4年味噌(みそ)づくり、5年生が学習田とバケツ稲を育てた。大仙市立高梨小学校は全校でサツマイモを育て、重さや形を競い合う。

 2011年から被災地の復興支援として「ふるさと元気農園」を続けているのは大館市立早口小学校。全校93人でサツマイモを栽培・販売し、義援金を宮城県の大島小学校に送っている。同市立第一中学校は、荒川農園で栽培した作物で、納豆、ごぼう茶、ドライトマト、手打ちそば、食用ほおずきジャムの他、わらじ作りや注連縄(しめなわ)作りにも取り組む。

 同展を審査した秋田県教育庁の中川博子指導主事は「農作業体験は、作物を育てる楽しさや収穫の喜び、感謝の心、仲間や地域の方との共同作業による充実感や達成感を子どもたちに味わわせ、それと同時に周囲の大人を元気にする双方向の活動となっています。このような農園活動が、ふるさとの良さを再確認し、郷土の自然や風土を愛する子どもの育成などに結び付くとともに、さらには地域の活性化に貢献する活動につながっていきます」と期待を寄せている。