正面装備更新進むも
F35A最新鋭ステルス戦闘機1機が1月26日、航空自衛隊三沢基地(青森県三沢市)に配備された。三沢基地には平成30年度末までにさらに9機が配備され、飛行隊(10機体制・隊員約200人)が新編される。中国、ロシア機への領空侵犯対応や、北朝鮮の弾道ミサイルに対する警戒監視任務に就く予定だ。
自衛隊は、日本周辺の安全保障環境の変化に伴い、組織改編や正面装備の更新を行っている。F35Aの導入は、その象徴だろう。
防衛費は平成25年度から6年連続で増加している。平成30年度政府予算案では、米軍再編関係費やSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係費などを含めた防衛費は5兆1911億円。過去最大の予算規模となった。SACO関係費を除いた防衛費も4兆9388億円が計上され、平成14年度の水準にようやく回復した。だが、日本の安全保障体制が盤石となるための予算規模なのか。甚だ疑問だ。
平成30年度政府予算案の一部を紹介すれば、F35A関連では、敵の脅威圏外から発射できる「JSM(ジョイント・ストライク・ミサイル)」の新規取得費など計22億円が計上されている。弾道ミサイルの複数同時発射やロフテッド軌道による攻撃、事前兆候の察知が困難な攻撃などへの対処能力を向上させるための、自動警戒管制システム「JADGE」の改修費や、島嶼(とうしょ)間での射撃を可能とする「高速滑空弾」と、長射程化に向けた「新対艦誘導弾」の要素技術の研究開発費が盛り込まれた。また、「イージス・アショア」2基の新規導入に向けた基本設計費など7億円が計上されている。
人員面では、現地の情報収集力の強化のため、マレーシア、ベルギーの防衛駐在官を各1人ずつ増員し、新たにチリにも1人を派遣する。
一方、日常の訓練費については、あまり増えていない。自衛隊の精強さを保つためには、隊員の練度維持のための予算もしっかりと確保する必要があると私は思うのだが…。
(濱口和久)