新「ミサイル防衛見直し」は不十分
極超音速ミサイルなど未対応
米軍の「ミサイル防衛見直し」(MDR)が間もなく完成するが、国防筋によると、MDR草案に国防総省高官らは、不満を抱いているという、
MDRは、現行システムの追加導入を求めている。迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」、迎撃ミサイルMS6、射程の長い地上配備型中間段階防衛(GMD)などだ。
しかし、誘導可能な極超音速ミサイルや、人工衛星を標的とする宇宙ミサイルによる新たな脅威への対応についてはあまり触れられていない。
THAADは、最新型の地上配備型迎撃ミサイルで、SM6を搭載した海軍イージス艦は、短・中距離ミサイルに対して非常に効果的。カリフォルニア州とアラスカ州に配備されている44発のGMDは、北朝鮮の長距離ミサイル攻撃に対する主要な防御システムだ。しかし、長距離ミサイル防衛システムは現在、ロシアと中国からのミサイル攻撃に対抗するように設計されていないため、対処できるのは北朝鮮のミサイルだけだ。
MDRは来月、中長期核戦略「核態勢の見直し」(NPR)とともに公表される。
パトリック・シャナハン国防次官は先月、記者団に対し、「MDRは、現行の能力と、それらをいかに強化し、そのためにどこに資金を投入すべきかが焦点になると思う」と、既存のシステムの強化が強調されると指摘した。
シャナハン氏が指摘した通り、MDRでは、本土ミサイル防衛、地域・戦域ミサイル防衛、戦略防衛といった「伝統的な領域」に焦点が合わせられる。
MDR草案に不満を持つシャナハン氏は、「そのため、今後はこれらの分野や、能力を拡大するにはどうすべきかについてさらに深める」と、極超音速ミサイルなど新たな脅威への対処の必要性を訴えた。
米議会は、国防総省に、高速で飛行し誘導可能な極超音速飛翔体に対応するミサイル防衛や、宇宙配備ミサイル防衛に注力するよう要請。最新の国防権限法は、国防総省ミサイル防衛局に、宇宙からのミサイル攻撃を追跡、対抗できるシステムの構築を指示している。