現実乖離の共産党の主張
北朝鮮が7月28日深夜に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。稲田朋美氏が防衛相を辞任した日であり、そして夜間ということで、日本政府は対応に追われた。
今まで一度も日本の国土や日本人に被害が出たことはない。だが、今後も被害が出ないという保証はどこにもない。そのため、ミサイル飛来を想定した住民避難訓練がいくつかの自治体で実施されている。
ここで、日本政策研究センター発行『明日への選択』7月号の「地方議会 政策情報」に掲載された静岡県下田市の住民避難訓練での日本共産党市議の行動を紹介したい。
6月23日、県内初のミサイル飛来を想定した県と市主催の住民避難訓練が下田市内で実施された。
この訓練に日本共産党市議3人が6月20日、「避難訓練は、日本が戦場となることを想定した憲法違反の訓練」とした上で、「北朝鮮の脅威をあおり立て軍事力の増強に国民的な同意を得ようとするものだ」として、市長に抗議文を提出した。
なぜ、北朝鮮のミサイル飛来を想定した住民避難訓練が、憲法違反に当たるのか理解に苦しむところだ。
この市議らにとっては、国民の生命を守ることよりも憲法のほうが大事なのか……。
一方、先ごろ開催された日本共産党創立95年記念式典で、不破哲三前議長が演説し、その中で、「自衛隊の解消」を掲げる現在の党綱領について、「自民党政治に代わる新しい展望と大きな構想を示している。国内的にも国際的にも試されるときを迎えた」と述べ、堅持する構えを示した。
まさに下田市の日本共産党市議らの抗議文の内容と、不破氏の演説は「空想的平和主義」の上に成り立っていると言えるだろう。
話を住民避難訓練に戻す。訓練の模様を報道するテレビのニュースなどで、子供たちが体育館などに避難する光景を見るが、こんな訓練方法(訓練レベル)でいいのか、と思ってしまうのは、私だけだろうか。
(濱口和久)