露が極超音速ミサイル試射

ビル・ガーツ

 ロシアは新型の極超音速巡行ミサイル「ジルコン」の試験発射を行った。国防総省は米軍艦艇への脅威になるとして懸念を強めている。米情報機関が追跡したとされるが、詳細については明らかになっていない。

 ロシアの国営メディアによると、ジルコンの速度はマッハ6から8に達し、現在のミサイル防衛システムの迎撃をかわすことが可能になるという。米海軍の駆逐艦、巡洋艦、空母は迎撃ミサイルを装備しているが、これほどの高速のミサイルには対処できず、海軍にとって脅威となる。

 国防アナリストらによると、試射は5月30日ごろロシア北部白海近くで、地上の発射台から行われた。

 メディアによると、対艦ミサイルのジルコンは、ロシアの原子力ミサイル巡洋艦に配備される。年内に生産が開始されるとみられている。

 軍事アナリストのウラジミール・チュコフ氏はロシア国営ニュースサイト、スプートニクで、ジルコンは2018年から20年に配備が開始されると述べた。

 全米公共政策研究所の上級アナリストで元国防総省高官のマーク・シュナイダー氏は、「ロシアによる極超音速兵器の開発が非常に深刻な脅威であることは明らかだ」と指摘した。このミサイルの射程は最大1000㌔とみられ「攻撃能力を大幅に高めることになる」という。シュナイダー氏は、米国は極超音速兵器の開発競争で「大きく後れを取っており」、問題は技術ではなく、予算不足だと強調した。中国もDF-ZFと呼ばれる極超音速ミサイルを開発している。

 国防総省は「通常型即時攻撃」計画の一環として先進極超音速兵器と呼ばれるミサイルの実験を年内に行う予定だ。この計画は、地球上のどの場所でも即座に攻撃できる兵器の開発を目指している。