あきれた「朝日」の報道
朝日新聞デジタル(5月7日付)に、驚きを超えてあきれるような記事が掲載された。
『南スーダンは安全?なら会社員を派遣したら 自衛官の母』というタイトルで、北海道千歳市に住む自衛官の母が、朝日記者からの質問に対して「昨年7月の大規模戦闘に象徴されるように、危険な場所であることは疑いようがありません。本当に安全なら、自衛官じゃなくて一般企業の社員でいいじゃないですか」と答えていた。
私はこの記事を読んだとき、朝日のレベルがここまで落ちたのかと思った。いや、意図的に載せたのか(やらせ記事?)。どちらにしても、記事にするような内容なのか。
普通の読者であれば、記事に登場する自衛官の母のコメントに対して、違和感を覚えるに違いない。また記事では、母が「国(政府)に南スーダンへの派遣差し止めを求める訴訟を起こした」とも伝えている。自衛官として勤務している息子は、母の行動をどのように思っているのだろうか。迷惑がってはいないか。
南スーダンPKO(国際平和維持活動)に限らず、自衛隊が派遣される条件は、安全な場所(停戦状態・治安が安定)が基本となっている。
だが、安全な場所といっても、日本国内のように、夜中でも若い女性が一人で歩けるようなレベルの安全な場所ではない。
イラク派遣のときも、自衛隊の宿営地周辺が100%安全ではなかった。しかし、派遣された自衛官は黙々とイラクの復興のために働き、イラクの人たちと交流しながら無事に任務を終えて帰国した。自衛隊が撤収するときには、現地の部族長から「引き続きイラクにとどまってほしい」とまでいわれている。
一般企業の社員を派遣するとしたら、現地までの輸送、宿営地の設営、ロジスティック(補給)の態勢を自前で構築することができるのか。当然無理である。警察官、消防官でも無理だ。だからこそ自衛官が派遣されるのであり、朝日もそのことが分からないはずはないと思うのだが。朝日の目は節穴か……。
(濱口和久)





