CIA長官、亡命の北元駐英公使と会見

反乱の可能性、意見交換

ビル・ガーツ

 米中央情報局(CIA)のポンペオ長官が、4月末から5月初めにかけての極秘の韓国訪問時に、韓国に亡命した北朝鮮の太永浩元駐英公使と会い、北朝鮮の金正恩体制に対する反乱の可能性について話し合っていたことが、米情報当局者の話で明らかになった。

 米情報当局者によると、太氏との会見でポンペオ氏は、北朝鮮内の情勢は、軍、治安、政治当局者らによる金体制への反乱の機が熟しているかどうかについて話し合ったという。太氏は、現状は反乱を起こしやすい状況にあると考えていると答えたという。

 米当局者によると、ポンペオ氏は、前政権下で弱められたCIAのスパイ活動、極秘活動の部署を強化し、国外での活動能力を高めるための措置を講じている。

 太氏はソウルで1月、記者団に対して、金体制は「崩壊に向かっている」と指摘、当局者らの腐敗と不満のために情報統制がうまくいかず、外部からの情報が体制内部に入ってきていると語っていた。

 また「脱北者はもっと出てくると確信している。北朝鮮の先行きは非常に危うい。従来の北の体制は構造からぐらつき始めている」と北朝鮮の内情を伝えていた。

 韓国の聯合通信が7日、在韓米軍が北朝鮮の人的情報(ヒューミント)の収集、分析を行う部隊を創設することを明らかにしたばかり。10月に設置され、太氏のような脱北者を通じて北朝鮮の情報収集を行うという。

 ポンペオ氏は韓国訪問時に、国家情報院の李炳浩院長や青瓦台(大統領府)高官らと会談、朝鮮日報によると、トランプ政権が前政権の北朝鮮に対する「戦略的忍耐」から圧力強化を含む戦略にシフトしたことを伝えた。

 コーツ米国家情報長官は11日に上院での公聴会で、「北朝鮮が2016年にかつてない水準で戦略兵器の試験、公表を行ってきたことは、金氏が核兵器による米本土攻撃の能力を持っていることを示す狙いがあることを示している」と証言し、北朝鮮が今後さらに、米国の脅威となっていくと指摘していた。