女性パイロットに期待

 ついに女性自衛官にも戦闘機と偵察機のパイロットになる道が開かれた。早ければ3年後に第1号の女性パイロットが誕生することになる。

 すでに米国では、1990年代以降、戦闘機への女性の配置が始まり、多くの女性が戦闘機パイロットとして活躍している。最新鋭戦闘機F35ライトニングⅡを操縦する女性パイロットも誕生した。

 その女性とはクリスティン・マウ中佐だ。F35のパイロットになるまで、マウ中佐は「攻撃する鷲」で知られる戦闘爆撃機F15Eに乗っていた。今回初めてF35を操縦したときの様子をマウ中佐は次のように語っている。

 「滑走路に移動して初めて、自分が本当にひとりきりで戦闘機に乗っていると実感しました。私の機体を追跡している飛行機はいましたが、私の後ろに兵器システム担当士官や、指示を出すパイロットが座っていたわけではありませんし、シミュレーターのように、耳元に話しかけてくれる人もいませんでした」

 空軍によると、マウ中佐はエグリン空軍基地で4年にわたってF35の訓練プログラムを受け、88人目のF35のパイロットに選ばれた。また、マウ中佐は「空軍の主力戦闘機で飛行した初の女性」だという(THE HUFFINGTON POST 2015年5月11日付)。

 現在、自衛官約23万人のうち、女性は約1万3000人いる。空自では平成7(1995)年から女性パイロットの養成を開始し、C1及びC130輸送機や救難機を操縦している。陸上自衛隊のヘリや固定翼機、海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cなどでも女性パイロットがすでに配置されている。

 航空自衛隊の斉藤治和幕僚長は、11月13日の記者会見のなかで、「戦闘機と偵察機は、飛行中の重力による身体への負担が大きいことなどから、配置を見送ってきたが、これからは能力や意欲がある女性が、男性と等しく責任を担える組織に変えていく必要がある」と女性に門戸を開いた理由を説明した(世界日報11月14日付)。

 空自からもマウ中佐のような女性パイロットが誕生することを期待したい。

(濱口和久)