徴兵制と防衛大人気
集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定から約1カ月が過ぎた。いまだに一部の新聞・テレビの中には、反対派の学者や左翼市民団体代表の主張を掲載し、安全保障の知識のないゲストを番組に登場させては、行使反対について喋らせている。
今後は、日本は「徴兵制を導入する」とまで書く新聞もあるが、どこまで国民に誤った情報を垂れ流し続ける気なのか。
現在、先進国で徴兵制を実施している国は、韓国とイスラエルの2カ国だけだ。NATO(北大西洋条約機構)加盟の国々も、すべて徴兵制を廃止もしくは停止している。
なぜ、先進国が徴兵制を廃止もしくは停止しているかと言えば、自衛隊を含め先進国の軍隊は、兵器や通信機器が高度化しているため、徴兵制を導入したとしても短期訓練で習熟するのは不可能に近いからだ。
このような事実を知ってか知らずか、一部の新聞が「徴兵制への道」と書き連ねることは、報道機関が国民に正しい情報を伝えることを放棄しているのと等しい。
日米安保改定、湾岸戦争時のPKO国会、イラクへの陸上自衛隊派遣のときにも、「日本が戦争に巻き込まれる」「戦場に教え子を送るな」などのスローガンを持ち出しては、一部の新聞は大騒ぎをした。今回の集団的自衛権の行使容認への反対も同じ行動パターンだ。
一方、7月26、27日の両日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の受験予定者を対象にした夏休み恒例の「オープンキャンパス」が開かれた。2日間の来場者は保護者を含め2729人(産経新聞8月2日付)。ここ数年毎年2500人を超えている。
また、将来の幹部自衛官の卵を養成する陸海空自衛隊の幹部候補生学校を受験する一般大卒の学生も増え、最近は東京6大学をはじめ、有名大学の学生も多い。
一部の新聞報道とは逆に、若者は世界の常識に近づいてきている。この潮流は、止めることはできないだろう。一部の新聞が反対しても。
(濱口和久)