フィリピンの人口1億人突破に思う
地球だより
フィリピンの人口委員会は先月末、同国の人口が1億人を突破したと発表した。しかも国民の平均年齢は23歳という若さだそうだ。
先日、日本を訪れたフィリピン人に感想を聞いたところ、「いったい日本の子供たちはどこにいるんだ?」と質問を受けた。あまりに子供を見掛けないので、みんなどこかに閉じこもっていると思ったようだ。少子化のことを説明したが、フィリピンに比べて裕福で暮らしやすい国なのに、夫婦があまり子供を持たないことを理解し難いようだった。
一方、フィリピンはというと10代で妊娠する女性が後を絶たず、20代前半で既に3人の子供がいる女性も珍しくない。貧しいカップルほど子供を多く作る傾向があり、まさに「貧乏人の子だくさん」という昔の日本の状況が当てはまる。
住宅街に行けば朝から晩まで子供が遊ぶ声が聞こえ、この国で子供のいない風景を探すことは難しい。
アキノ政権は人口増加が貧困の一因と指摘し、避妊の促進など国民の家族計画を支援する法律を成立させたが、人口増加に歯止めが掛かるかは懐疑的で、今後も増え続けるとの見方が強い。
飛行機でたった4時間の距離にある日本とフィリピン。日本が少子化で人手不足を抱える一方、フィリピンは人口爆発と高い失業率という、対照的な問題を抱える。いろいろ問題はあるだろうが、この国で暮らす者として、もっと両国の人的交流が活発になればうれしい。
(F)