変貌する自衛隊と報道

 防衛省は先月30日、平成25年度の災害派遣実績を発表した。出動件数は、前年度比34件増の554件で、ここ数年ほほ横ばいとなっている。

 しかし、派遣規模は昨年10月の台風26号による伊豆大島土砂災害で「伊豆大島統合任務部隊(JTF―椿)」を編成したことで、東日本大震災を除く過去5年間で最多の8万9049人と大幅に増加した。今年2月の豪雪でも、宮城、福島、群馬、埼玉、東京、山梨、静岡、長野の1都7県に延べ約5060人が派遣された(自衛隊の専門紙・朝雲新聞7月17日付)。

 災害派遣業務は、自衛隊にとっては難しい任務ではない。実際、派遣された隊員たちは、住民(国民)の期待に応えるだけの働きをしている。

 災害派遣での活躍は、国民に自衛隊を身近に感じさせるうえでは、大いに役立っているかもしれないが、自衛隊の本来任務は国家の主権と独立を守ることである。そのために自衛隊は日夜、厳しい訓練をしているのだ。

 自衛隊が今年で創設60年を迎えたことは前回の同欄でも紹介した。

 この60年間、自衛隊は「憲法違反の存在だ」とか言われた時代を経て、現在は「国民のための自衛隊」へと大きく変貌を遂げている。

 ところが、一部の新聞・テレビは、いまだに自衛隊を「日陰者扱い」にしておきたいような報道を繰り返していることは、非常に残念というしかない。

 新聞では朝日、毎日、東京、テレビではTBS、テレビ朝日は自衛隊の活躍する姿が面白くないようだ。

 特に毎週土曜日夕方5時30分から放送されているTBSの『報道特集』では、キャスターの金平茂紀が、自衛隊は「危険な集団」かのような発言をしたこともある。海上自衛隊の幹部候補生学校を取材したときも、将来の「幹部自衛官の卵」に対して、皮肉を込めたコメントを発していた。

 自衛隊の評価が国内外で高まるなか、報道に携わる人間の自衛隊に対する冷たい視線には、あきれるばかりだ。(濱口和久)