第3の大統領候補


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

1997年の大統領選挙の時、金大中、李会昌両候補の得票差は約39万票。党内予備選の結果(李候補の勝利)に従わず離党して出馬した李仁済氏の497万票がなかったら勝敗は変わっていたはずだ。2002年の選挙では、盧武鉉と李会昌両候補の差は57万票。盧武鉉氏が鄭夢準氏と候補一本化に成功しなかったら歴史の主人公が変わっていただろう。

 1987年の大統領直選制改憲後、大統領選挙で絶えず登場した第3地帯、第3の候補は本人が成功した場合はないが、このように2強候補の勝敗に決定的な影響を与えた場合が多い。

安哲秀氏

 今度の大統領選挙では「国民の党」の安哲秀代表、「正義党」大統領候補の沈相●氏、元経済副首相の金東◆氏が第3の候補となっている。これまで与野党双方に批判を強めてきた安代表は、早ければ今月31日に出馬を宣言するという。12日に選出され、4回目の大統領選に乗り出した沈候補は最後までやり切る意思を明らかにしている。金元副首相は去る24日、「新しい波」(仮称)結党発起人大会を開き、新党結党を始動させた。

 今度の大統領選挙でこれまで以上に第3の候補が注目されている理由は、大きく二つある。まず、与党「共に民主党」の李在明候補や最大野党「国民の力」の有力予備候補の尹錫★、洪準杓両氏は、いずれも非好感度が非常に高い。22日発表の韓国ギャラップ調査では、李、尹、洪3候補の非好感度はそれぞれ62、60、59%に達する。非好感度が高いということは、票の拡張性が落ちることを意味する。

 また、今度の大統領選挙は与党と最大野党の候補は優劣つけ難い超薄氷の差の選挙になると予想される。李対尹、李対洪の対決は大部分の世論調査で誤差範囲内の接戦となっている。

 安代表は2017年の大統領選挙でも21・41%得票した。4月のソウル市長補欠選挙でも、国民の力の呉世勲候補との一本化を通して、野党のソウル市長奪還に力を添えた。彼の出馬は国民の力の候補にとって大きなマイナス材料だ。沈候補は李候補にとって負担となる。昨年の総選挙で、民主党が衛星政党をつくって正義党との関係が歪(ゆが)んでしまい、沈候補は李候補に対して連日、鋭い攻撃をしかけている。

 3候補の支持率はまだ微々たるものだが、李候補と国民の力の候補が終盤まで優劣がつかない構図なら、決定的な“変数”となり得る。第3の候補は両党の候補者をやきもきさせるだろう。

 (10月27日付)

 ●=女へんに丁

 ◆=なべぶたのしたに兌

 ★=悦の兄の上を八に

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。