【韓国紙】金剛松の群生地
松はわれわれの気性と節操、志操などを象徴する木だ。松の別名である「ソル」は「最高」を意味するという。木の中で最高であるというのだ。寒さに強く、冬の季節でも自分の姿を保つので、梅や竹と共に「歳寒三友」に含まれている。
秋史・金正喜(朝鮮後期の文臣)は済州島に流刑となる間に描いた『歳寒図』で松の青々とした気性を通して士人の精神を称(たた)えた。作家の申栄福は箴言集『初めてのように』で「真っすぐに立ったまま冬と戦ってきた松の葉に一番早く春色が咲く」と述べている。
昔から長寿を意味する木なので、太陽、山、水、石、雲、不老草、亀、鶴、鹿とともに十長生(不老長生きの象徴物)の一つに数えられた。
生態史学者カン・パングォンは著書『士人が愛した木』で「今まで残っている松をはじめとする宇宙木または世界樹は、人類の精神的な表象」だとしながら、「木は天が与えた本姓、即ち天命のまま生きるためにあらゆるエネルギーを注ぐ。木のように本性どおりに生きていくことが人生の理であり、このような理が即ち宇宙の原理」だと語った。
松のうち特に枝が真っすぐに伸びて、立派な木材として挙げられるのが金剛山松だ。金剛山を中心に太白山脈に沿って江原道一帯で育つので、こんな名前が付いた。金剛松は成長速度が遅いので、木の組織が稠密(ちゅうみつ)で松脂の含有量が多く、あまり腐らないのに加え強度が高く割れにくい。宮殿と王室専用の木材であり、民衆が盗伐できなかったため、禁松とも言われた。
慶尚北道蔚珍の金剛松はわが国の在来種の松の原型であり、最も血統がいいという評価を受けている。蔚珍郡金剛松面召光里一帯の金剛松の群生地は2247㌶の面積に、樹齢200年を超える金剛松が8万株余り存在する。国内唯一の育種保護林だ。次世代の金剛松も育っている。敢(あ)えて金剛松の海だと言えよう。
2008年の(首都ソウルにある)崇礼門(通称、南大門。韓国の国宝第1号)火災の後、復元作業に使われる木もここの金剛松だ。この金剛松の群生地が、(日本海に面した)東海岸の山火事に脅かされている。一時、火魔が金剛松の群生地まで500㍍地点まで接近したりしている。残念なことだと言わざるを得ない。山林当局が速やかに火頭を押さえて山火事を遮断することを切実に願っている。
(3月8日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。