【韓国紙】女家部の存廃論争


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

女性家族部が入居する-政府ソウル庁舎-Wikipediaより

 女性家族部(=女家部、部は省に相当)は金大中政権時代の2001年、女性部として発足した超ミニ部処(省庁)だ。発足後10年の間に女性家族部→女性部→女性家族部と、名称が3回も変わった。全盛期は盧武鉉政権の時だ。保健福祉部の所管だった保育・家族業務を合わせて女性家族部に拡大改編した。李明博政権は“廃止危機→拡大改編”という曲折を見せた。拡大と言っても、現在も政府予算の0・2%、人員も気象庁の4分の1程度であり、18部処のうち最も小さい。

 そんな女家部は政権が変わるたびに存廃論議に巻き込まれた。今回の大統領選挙でも然りだ。選挙の熱気が高まる今年1月7日、国民の力の尹錫悦候補がフェイスブックに「女性家族部廃止」と書いた。わずか7文字の公約にオンラインはたちまち賛否論争で沸き返った。今回の選挙結果もあまり変わらなかった。先の大統領選挙で“20代男性”は尹候補に、“20代女性”は李在明候補に60%近い票を投じた。全年代を見ても性別による支持度の差が20ポイント以上開くのは20代だけだ。“男女分断”論争が起こり、国民の力の内部でも自省論が出ている。選挙が終わった後、敗北した与党に女性の入党者が殺到しているという大統領選挙は終わったが、両陣営対立の構図は依然、そのまま残っているというわけだ。

 ジェンダー問題は敏感なイシューだ。うまく対応しても当然で、下手をすると罵倒される。それでも尹当選者は昨日の記者会見で、「女家部は歴史的な使命を果たした」と述べ、女家部廃止の意思を再確認した。選挙が終わってすぐに10大公約をさっと撤回することは難しいだろう。とはいえ、政府組織法を左右する172議席の巨大野党が簡単に同意してくれるはずがない。

 女家部の責任が大きい。性売買特別法の制定と戸主制廃止などの成果も少なくないが、“ミートゥー”運動への対応が消極的で、朴元淳(前ソウル市長)・呉巨敦(前釜山市長)性暴力事件など、権力型犯罪に沈黙した。国民にきちんと存在感を示せなかった。予算、人員の限界のせいでもあるが、度を越した。

 女家部廃止が女性の社会参加と権益保護、性平等の退歩を意味するわけではないはずだ。名称にこだわって国民統合を阻害する消耗的な論争に明け暮れては困る。効果的な業務調整で政策の効果を極大化する代案を探すのが筋だ。

 (3月15日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

(サムネイル画像:Wikipediaより)