【韓国紙】万邦来朝
2014年11月、中国の北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の時に起こったことだ。習近平主席が21カ国の首脳を招いて盛大な歓迎晩餐会(ばんさんかい)を催したが、共産党機関紙『人民日報』が唐突にこの宴会を紹介し、「多くの人が万邦来朝を感じた」と報じた。習主席が皇帝であり、他の首脳たちは習主席に謁見していると見えたという意味だ。
万邦来朝とは全ての周辺国が朝貢を献上するために中国に来るという意味で、漢族の王朝のうち最も繁栄した唐の威勢を象徴する。唐の玄宗皇帝時代に朝貢を献上した国が約70カ国に及ぶ。
多くの中国人が万邦来朝を当然視する。周辺国から皇帝に献上する貢ぎ物より、皇帝が周辺国に下賜する物品や利益がより大きかったと考える。中国は朝貢秩序によって周辺国を搾取したのでなく、むしろ周辺国を保護するために経済的な出血を厭わなかったという話まで出てくる。習主席が主唱する「中華民族の偉大なる復興」、「中国の夢」にもこのような情緒が根底にある。
北京冬季五輪で同じような風景が繰り返された。習主席は5日、人民大会堂で首脳クラスの外賓約20人を招待して宴会を開いた。宴会場にはロの字型の大きく華やかな食卓が登場したが、龍の形をした青色の水が真ん中に流れ、周辺には花壇やスキーのジャンプ台などの姿をかたどった展示物が目を引く。龍は皇帝を意味するので、中国が世の中の中心との意味が込められているようだ。食卓の左側に習主席夫妻と中国側の参加者が、向かい側には外賓たちが座ったが、ちょうど唐の時代の皇帝と朝貢国代表を連想させる。
中国のオリンピック外交にも万邦来朝が溶け込んでいる。アルゼンチン大統領は毛沢東の遺体を安置した毛主席記念堂を訪ねて参拝し、ツイッターを通じて「中国で230億㌦以上の投資を誘致した」と自慢した。エクアドルなど中南米諸国の指導者たちは、それぞれ新型コロナウイルスワクチンの寄付など、プレゼントを手にした。
米国など西欧諸国の外交的ボイコットを無力化し、米国の“前庭”に影響力を拡大しようという中国の狙い通りの様相だ。新冷戦時代、米国の覇権に挑戦する中華帝国主義の気勢は日増しに強まるはずだ。中国が作った21世紀版の朝貢秩序の中で、韓国が犠牲の羊に転落してしまうのではないか、心配だ。
(2月9日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。