戦争回避が共通目標 仏独ポーランド首脳


マクロン大統領とシュルツ氏とドゥダ氏

 マクロン仏大統領とシュルツ独首相、ドゥダ・ポーランド大統領は8日、ドイツのベルリンで記者会見を行い、ウクライナ危機に対して「ヨーロッパでの戦争を回避する」という共通の目的を示した。

 マクロン氏は7日にモスクワを訪問し、5時間にわたり、プーチン露大統領と協議した後、ウクライナのキエフでゼレンスキー同国大統領と会談し、「ロシアが軍事行動をエスカレートさせない確約を得た」と語っていた。

 米ワシントンでバイデン大統領と初の首脳会談を終え、帰国したばかりのドイツのシュルツ首相は記者会見で、「私たちの共通の目標は、欧州での戦争を回避することで一致している」ことを強調した。マクロン氏は今後、ロシアと「厳しい協議に入ることになる」と述べた。

 ただ、3者には温度差もある。シュルツ氏はバイデン氏との共同記者会見で、バイデン氏が、ロシア軍がウクライナとの国境を少しでも越えれば、ロシアの天然ガスをドイツに直接送り込むパイプライン「ノルドストリーム2」を閉鎖すると述べたのに対して、シュルツ氏は同パイプラインにはまったく触れなかった。ロシアの天然ガスはドイツ経済の頼みの綱だからだ。

 そのドイツがウクライナに武器を提供しないことにポーランドは強い不信感を抱いている。ウクライナはバルト3国とともに北大西洋条約機構(NATO)軍から支援の増強を受けており、ドイツがロシアとの関係を壊したくないために兵器を提供していないと非難している。

 マクロン氏はゼレンスキー氏に対して、プーチン氏に対して2014年にウクライナ東部ドンバス地域における戦闘の停止について合意したミンスク議定書による和平実現を強調したと伝えたが、ゼレンスキー氏はミンスク合意を全く信じていない。マクロン氏は4月に大統領選を控え、外交得点を稼ぐ野心も見え隠れしているといわれている。

(パリ 安倍雅信)