社説
「あすの会」解散、被害者権利確立の意義大きい
犯罪被害者の権利確立のため活動してきた「全国犯罪被害者の会」(あすの会)が解散し、約18年の活動に幕を閉じた。 加害者の人権ばかりが重視されてきた中、被害者の人権に目を向け、刑事裁判への参加に道を開くなどの功績を残し…
司法取引、捜査権限拡大を視野に入れよ
容疑者や被告が捜査機関に協力し、他人の犯罪事実を明らかにすれば、起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりする。そんな「司法取引」が6月1日から始まった。汚職や詐欺、薬物などの組織犯罪などで適用する。 組織犯罪の解明に役立つ…
米朝会談12日に、トランプ氏は足元見られるな
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談が、当初の予定通り12日にシンガポールで開催されることになった。 会談中止の表明からわずか8日後だ。しかも、北朝鮮の非核化の道筋が明確にならない中での決定で…
水産改革案、成長産業へ脱皮の契機に
養殖業への民間企業の参入促進を柱とした水産庁の水産改革案がまとまり、自民党の水産部会で了承された。漁獲量の減少、高齢化による働き手不足など課題を抱える水産業を成長産業に脱皮させるきっかけとなるか、注目したい。 漁協の既…
徴用工像撤去、日韓関係改善に欠かせない
韓国南東部・釜山の日本総領事館沿いの公道に放置されたままだった徴用工像が、像を持ち込んだ労働団体が撤去に応じなかったため、韓国当局により強制的に撤去された。2015年末のいわゆる従軍慰安婦問題をめぐる日韓合意が韓国側の…
高齢者の事故、対策拡充と免許返納の促進を
高齢者が運転する車による深刻な事故が後を絶たない。被害者やその家族は深い悲しみのどん底に突き落とされる。その大きな責めを負う老いた加害者も、残り少ない人生を悔悟の念に苛(さいな)まれる中で過ごすほかなくなる。悲劇である…
党首討論、大局的観点なく物足りない
安倍晋三首相(自民党総裁)と立憲民主党の枝野幸男代表らによる党首討論が行われた。 約1年半ぶりの開催となったが、大局的観点からの政策論議はあまりなかった。物足りず、期待外れであったと言わざるを得ない。 枝野氏は「森…
社会保障費推計、官民挙げての対策を急げ
政府は65歳以上の高齢者人口がピークを迎える2040年度時点の社会保障給付費が最大190兆円に達するとの試算結果を公表した。これは18年度(121兆3000億円)の約1・6倍に上る。官民を挙げての対策が急がれる。 必要…
エネルギー計画、原発新増設への道筋付けよ
政府が今夏に改定する「エネルギー基本計画」の原案が示された。 2030年の最適な電源構成を原発比率20~22%などと定めた従来の目標を維持したが、原発の新増設や建て替えの明記を見送ったことは踏み込み不足だと言わざるを…
日露首脳会談、北方領土交渉は拙速を慎め
安倍晋三首相はモスクワのクレムリン(大統領府)で、ロシアのプーチン大統領と会談した。懸案の北方領土問題について、共同経済活動の推進で一定の合意は得たものの、ロシアが領土返還に応じる兆しは見えない。拙速を慎み、腰を据えた…
国民投票法改正、投票機会拡大へ早期実現を
自民、公明両党は衆院憲法審査会幹事会で憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案を提示し、共産、社民両党を除く各党が基本的に賛同する立場を示した。改正されれば2014年に続いて2度目となる。前回の改正では投票年齢が「20…
米朝会談中止、北ペースに待った掛けた
来月12日にシンガポールで開催される予定だった史上初の米朝首脳会談が米国側の決断で急遽(きゅうきょ)中止になった。 トランプ米大統領が北朝鮮側の姿勢に反発したことによるもので、会談を強く望んでいたとみられる北朝鮮は当…
日大反則問題、ルール至上の大学スポーツを
日本大-関西学院大のアメリカンフットボール定期戦で日大選手が関学大選手を悪質なタックルで負傷させ、被害届を受けた警視庁が捜査に入った。 日大選手は謝罪の記者会見を開き、監督やコーチからの「潰(つぶ)せ」という指示でけ…
米韓首脳会談、米朝仲介果たせなかった文氏
米国のトランプ大統領と韓国の文在寅大統領による首脳会談がワシントンで行われた。議題の大半は来月12日にシンガポールで開催予定の米朝首脳会談に関するものだったが、トランプ氏が延期の可能性に初めて言及し、北朝鮮非核化の方法…
海洋基本計画、安保なくして開発・利用なし
わが国の今後5年間の海洋政策の指針となる「海洋基本計画」が閣議決定された。 第3期の今回は、中国や北朝鮮の脅威を明記し、領海警備や離島防衛など安全保障を前面に打ち出した。 厳しさ増している情勢 背景には海洋をめぐる…
スルガ銀行、ずさんな融資は許されない
静岡県に拠点を置くスルガ銀行(沼津市)はシェアハウス関連の融資をめぐり、審査書類の偽造や改竄(かいざん)を行員が認識しながら実行していたことを明らかにした。ずさんな融資で銀行への信頼を損なった責任は重い。 審査書類の改…
新潟女児殺害、「子供を守る」施策を強化せよ
新潟市の小学2年の女児が下校時に連れ去られ殺害された事件は、子供たちをどう守るか犯罪防止の課題を改めて突き付けている。登下校時の安全対策は言うまでもないが、加害者を生み出さない取り組みも忘れてはならない。被害、加害の両…
iPS心臓治療、安全確保に細心の注意を
重い心臓病の患者に他人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓の細胞を移植する大阪大の臨床研究計画を、厚生労働省の専門部会が大筋で了承した。 阪大は年度内にも移植を実施して安全性と効果を検証する。新たな治療法の…
中国国産空母、周辺諸国脅かす運用に警戒を
中国初の国産空母が、遼寧省大連の造船施設を出て周辺海域で試験航行を始めた。動力設備の信頼性、安定性の検証などが目的とされる。習近平政権の掲げる「海洋強国」を誇示する狙いがある。 就役が19年に前倒しか 初の国産空母…
GDPマイナス、景気の先行き不安が強まった
今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比で2年3カ月ぶりにマイナス成長となった。個人消費、設備投資など内需は総崩れで、輸出も伸びが鈍化し、景気回復の足踏み状態が鮮明になった。 4~6月期は所得環境の改善など…
外国人労働者、総合的な制度設計が必要だ
景気が上向きにある中、さまざまな分野での人手不足が顕著になってきている。その不足を補うため、安倍晋三首相は外国人労働者の受け入れ拡大を検討する意向で来月にも方向性を示す。この問題は日本経済の持続的な成長、さらに治安や社…
米大使館移転、和平に向けた道筋を示せ
米国は在イスラエル大使館を商都テルアビブからエルサレムに移転させた。パレスチナ人による抗議で多数の死傷者が出ており、トランプ米大統領は和平の推進で国際社会が納得できる道筋を示すべきだ。 抗議デモで死傷者多数 イスラエ…
はやぶさ2、新しいチャレンジが始まる
小惑星「りゅうぐう」を目指し、2014年12月に打ち上げられた探査機「はやぶさ2」が、小惑星まで約6万キロに迫り、到着の最終準備段階へ移行している。6月初めに接近誘導を開始し、同月下旬にも到着する。約18カ月滞在し、試…