米中首脳、貿易交渉再開で一致
ファーウェイへの禁輸 限定解除
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日、大阪市内のホテルで会談し、暗礁に乗り上げていた貿易交渉を再開することで一致した。米国による対中関税第4弾の発動は当面見送られる。トランプ氏は、安全保障上の懸念から中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)に課していた禁輸措置についても、限定的に解除することを表明。決裂による深刻な事態は当面回避されたものの、今後の交渉で成果を見いだせるかは、予断を許さない。
トランプ氏はG20閉幕後の会見で、ファーウェイについて「米製品を売ることを認めていきたい」と禁輸措置の解除の意向を明らかにした。ファーウェイは5月、商務省によって安全保障上のリスクが高い外国企業のリストに挙げられ、米国からの部品購入が事実上禁止されていた。しかし、リストから外すわけではなく、「安全保障上問題のない」(トランプ氏)部品についての限定的な解除にとどまるものとみられている。
ファーウェイへの禁輸解除はこれまでも習氏が米国に要請しており、トランプ氏は習氏への「個人的好意」から解除を決めたとしている。また「米企業が納得していない」と、米企業からの要請に配慮したことも強調した。
トランプ氏は会談後「素晴らしい会談だった。交渉の道に戻る」と述べ、中国との貿易交渉を再開することを明らかにした。貿易交渉は、米国による構造改革の要求に中国が反発し、5月から中断していた。
両首脳が会談するのは7カ月ぶり。トランプ大統領は、「両国関係は非常に密接であったが、少し道から外れていた」と対中関係の悪化を認めた上で、「貿易に関してバランスを取るためにすべきことがある」と、今後も、知的財産権の侵害、米企業に対する強制的技術移転、産業補助金の停止など、中国の構造改革を求めていくことを明確にした。
また、第3弾までの関税については、「当面は解除しない」と維持することを表明、「中国に輸入してほしいもののリストを渡す」と、習氏が米国製品の輸入増を受け入れたことを示唆した。
習氏は首脳会談で、「大統領とは、緊密に情報交換をしてきた」と両国関係が良好であることを強調。40年前の国交樹立以後「大きな変化があったが、変わっていないところが一つある。両国は協力によって恩恵を受け、対立によって損失を受けてきたことだ」と対立は双方にとって利益にならないと主張し、今後の交渉に前向きな姿勢を示した。
(G20大阪サミット取材班)