熟慮しての判断か疑問


東京財団上席研究員・元IWC日本代表代理 小松正之氏

小松 正之

 9月のIWC総会で日本の意見が通らなかったからといって、「IWCは宗教団体化している」などと感情的に批判し脱退していいのか、十分熟慮しての決定とは思えない。IWCで地道な対話をどれだけ行ってきたのか。

 何より脱退して何をするのか、ビジョンが見えない。南極海での調査捕鯨ができなくなり、日本沿岸での商業捕鯨を行うというが、それでどれだけのメリットがあるのか。脱退した状態で商業捕鯨を行えば、国際条約上の基礎のない状態でやることになる。日本は日本近海でサンマなどを漁獲する外国の無責任な行動を無法なものと批判しているが、こんどはそれらの国から日本は鯨を無法に取っていると逆に非難されることになる。そういう影響も考えないといけない。