ロシアが小型核2000発を配備
「将来使用する準備」米司令官が指摘
米戦略軍のハイテン司令官は、ロシアの戦術核兵器に関する情報機関の評価報告書を初めて公表した。上院軍事委員会でハイテン氏は、ロシアが2000発もの小型核兵器を配備しており、将来の紛争で核兵器を使用する準備を進めていることを示していると警告した。
ハイテン氏は、ロシアが地上発射巡航ミサイルSSC8を「複数の大隊」に配備しており、これは「ロシアによる中距離核戦力(INF)全廃条約の違反だ」と訴えた。また「最大2000発の非戦略核を保有しているが、これは新戦略兵器削減条約(新START)の下では報告を義務付けられていない」とロシアを非難、「ロシアによる悪意ある行動が広範囲に及び、自己の利益になると考えれば合意も無視することを明示している」と主張した。
長年、ロシアの戦術核弾頭・爆弾の数は公表されず、1000発から最大で6000発とみられてきた。
米国防総省は、約500発の戦術核兵器を保有、そのうちの200発は航空機搭載用に欧州に配備されている。また、戦術核弾頭を搭載した2発のミサイルを配備することを計画している。
昨年2月公表の「核態勢の見直し」(NPR)は、一部の潜水艦発射核ミサイルに低出力弾頭を搭載することを要求している。国防総省は、SSC8に対抗するために新型地上発射ミサイルを配備することを検討している。
米軍高官は記者(ビル・ガーツ)に、中国が準中距離・中距離核ミサイルを大量に配備し、ロシアがINF条約違反の地上発射中距離核巡航ミサイルSSC8を配備したことで、小型核兵器の必要性が高まったと指摘した。
海軍は、水上艦、潜水艦から発射する新型ミサイルを配備する。搭載する低出力核弾頭は、475キロ㌧の核弾頭W88の2段のうち1段を取り外し、製造するという。水上・潜水艦発射戦術核ミサイルはすべて、ブッシュ(父)政権時の1990年代に不活性化されていた。
ハイテン氏は、「ロシアは、核兵器で安全保障を支え、将来のために核戦力を維持すると主張しているが、大規模な核兵器施設と製造基盤を保有していることがこれを裏付けている」と指摘、ロシアの戦術核がロシアの核による威嚇戦略を支えていることを強調した。
また、核による威嚇戦略によってロシアは「政治、経済、軍事、情報戦のあらゆる面で米国とNATOに対抗する能力」を強めており、「戦場で不利になれば、低出力核を使用することを考えている可能性があり、米国が保有していれば、それは阻止できる」と米国による低出力核保有の必要性を訴えた。







