先端技術を盗み出す中国
中国政府は、米国に対する経済的攻勢の一環として、さまざまな手法で米国の先進技術を盗み出している。ホワイトハウスは19日、報告書「中国の経済的攻撃が米国と世界の技術・知的財産にいかに脅威となっているか」を公表、中国への技術、知的財産の流出に警鐘を鳴らした。
報告書は、ホワイトハウスの通商製造業政策局が国防総省と情報機関の極秘情報などを基に作成。中国が、世界第2位の経済大国となるためにどのような産業政策を取ってきたかについて、詳細を初めて明らかにした。報告書によると、中国は漏洩(ろうえい)、サイバー攻撃、偽造、著作権・特許権侵害などを国家的に支援、世界中から技術や情報を入手していると指摘。中国による経済的攻撃のほとんどは、米国や中国で活動する米企業を標的に行われてきたと訴えている。
中国が主に狙っているのは、人工知能(AI)、ブロックチェーン技術、ロボット工学、ハイテクを生かした製造・輸送技術。中国国内の米企業に対しては、規制を科すことで、中国市場への参入を条件に強制的に技術を移転させているという。
一方、米国内の大学、研究所で働く中国国籍保有者は何十万人にも上り、先端技術を入手し、中国企業に移転している。
報告書によると、中国の情報機関、国家安全省が国外からの技術獲得を支援している。同省は海外に4万人、国内に5万人の職員を抱えている。さらに、2013年に本格的な活動を開始した中国陸軍サイバー軍の10万人が国家安全省を支援している。
中国はサイバースパイ活動で米国の企業秘密を盗み出しており、それによって米国は年間1億8000万ドルから5億4000万ドルの被害を受けているという。
報告書は、国防総省が国家安全保障の脅威とみなしている中国の華為技術(ファーウェイ)が、軍事転用可能なAIと機械学習でカリフォルニア大学バークレー校と提携していることを指摘している。
また、中国は「シリコンバレーやボストンのような技術革新の拠点に戦略的に研究所を築いている」という。中国検索最大手の百度(バイドゥ)もカリフォルニア州に研究所を設置し、グーグル、アップル、フェイスブックなどにAI分野で対抗していることを明らかにした。
ナバロ通商製造業政策局長は、トランプ大統領の対中政策を「勇気あるもので、明確なビジョンに基づく」と高く評価。対中貿易赤字を削減すること、米国の重要技術を中国が依然として盗み出し続けていることの2点をめぐって中国と繰り返し交渉してきたが、成功しなかったと指摘した上で、「トランプ氏の行動は全く防衛的」であり、「中国の攻撃的な振る舞いから、米国の至宝である技術を守るためだ」と訴えた。






