保守派への攻撃続けるSPLC

米コラムニスト マーク・ティーセン

「過激派」とレッテル貼り
敗訴で信頼失う

マーク・ティーセン

 非営利団体「南部貧困法律センター(SPLC)」は、偏狭な考えから、善良な人々に対しいわれのない中傷をしてきたが、ようやくその責任が問われることになった。イスラム過激派だったマージド・ナワズ氏が、いんちきの「反イスラム急進派へのフィールドガイド」に参加させられたとSPLCを訴え、SPLCは今週、和解金337万5000㌦を支払い、公式に謝罪することで合意した。

 SPLCは、1970年代にクー・クラックス・クラン(KKK)を相手取って人権訴訟を起こすことで、重要な役割を果たしたことで知られている。しかし、今ではSPLC自身がKKKのようになり、左翼思想を受け入れない者らに「過激派」「ヘイトグループ」のレッテルを貼っている。

 ナワズ氏の例がまさにその典型だ。イスラム過激思想を放棄して以降、ナワズ氏は3人の英首相に仕え、過激主義と戦うためにキリアム財団を創設した。ナワズ氏は反イスラムではない。イスラム教徒であり、「イスラムは平和の宗教」と訴えてきた。

 ナワズ氏は、どのようにして偏狭な反イスラムへのSPLCの偽案内人となったのだろうか。同氏の罪は、かつて信奉した過激なイスラム主義思想への批判を主導したこととされている。ナワズ氏の勇気ある行動によってSPLCは、何百万㌦もの和解金を支払うことになった。声明を発表して「間違い」を認め、ナワズ氏は「多元主義を促進し、偏狭な反イスラム、イスラム過激主義を非難するなどして、大衆の間での議論の促進に大いに貢献した」と発表せざるを得なくなった。

 ◇ヘイトマップに掲載

 この和解が、出発点となることを望んでいる。SPLCは、過去にも同様のことをしてきたからだ。2010年には、中絶と同性婚に反対する保守系のキリスト教支持団体「家族研究協議会」(FRC)を「ヘイトマップ」に掲載した。その2年後、武装した1人の男がFRC本部に侵入した。「できるだけたくさん殺し、チックフィレーのサンドイッチをその顔に押し付ける」ことが目的だった。男は連邦捜査局(FBI)に、SPLCのサイトで標的を選んだと証言している。

 残念なことにメディアはSPLCの問題を深刻に捉えていない。ABCニュースは昨年、「ジェフ・セッションズ氏、『反LGBTヘイトグループ』で演説」という番組を放映、その中で、「セッションズ氏は、『自由を守る連盟』の会員を前に演説した。この連盟は、南部貧困法律センターによって2016年に『反LGBTヘイトグループ』に指定されている」と指摘した。「自由を守る連盟(ADF)」は、保守派弁護士らで構成する立派な組織であり、信教の自由の擁護に取り組んでいる。最近では、最高裁のマスターピースケーキショップ対コロラド州人権委員会訴訟を扱い、7対2で勝訴した。「ヘイトグループ」ではない。あえて言えば、反キリスト教徒と戦う組織だ。

 SPLCは14年には、後に共和党で大統領選に出馬し、現在は住宅都市開発長官のベン・カーソン氏を「過激派監視リスト」に掲載した。ネオナチや白人優越主義者らが掲載されているリストだ。抗議を受けて、カーソン氏をリストから外し、謝罪した。

 ◇学生の襲撃で負傷者

 SPLCはチャールズ・マレー氏を「白人民族主義者」としてサイトに掲載した。マレー氏は、アメリカン・エンタープライズ研究所の私の仕事仲間であり、尊敬に値する保守派知識人の1人だ。サイトを見た学生らが昨年、ミドルベリー大学で講演中のマレー氏を襲撃した。

 マレー氏はその場から逃げ、無傷だったが、マレー氏を招いたリベラル派の教授は病院行きになった。

 ナワズ氏は、怒りを表明する一方で、SPLCに過激派に指定されるのを恐れていた。無理もない。ナワズ氏は16年にアトランティック誌で「標的にされる。私がしている仕事を見て、悪意を持つイスラム教徒に、私が過激派だと言われれば、標的になってしまう」と話していた。

 残念ながら、ナワズ氏との和解を受けて、SPLCが他の人々への中傷を控えることはなさそうだ。340万㌦はSPLCにとって大した額ではないからだ。SPLCは、16年11月から17年10月の間に1億3200万㌦を集め、4億7700万㌦の資金を持つ。そのうち9200万㌦は海外の口座だ。保守派に泥を塗ることは、SPLCにとって最大のビジネスだ。

 SPLCを止める唯一の方法は、寄付をやめ、メディアがSPLCの言い分を報じたり、その主張をまともに捉えたりするのをやめることだ。SPLCはかつて、KKKとの戦いで重要な役目を果たした。しかし、ナワズ氏、FRC、カーソン氏、マレー氏をKKKと同列に扱ったことで、信頼を完全に失った。

(6月22日)