日本の民主主義 官僚の智恵も借り改革を


 永田町の与野党関係は時の流れとともに千変万化する。しかし永田町の与野党対立の基本的な構図は万古不易だ。保革の政党の睨み合いは、終戦以来今日まで延々と続き尽きるところを知らない。日本の経済は世界トップクラスだ。これは皆が認めている。しかし政治に対しては異論続出だ。

 日本の政治を民主主義国家の上位にランクする見方があると思えば、アフリカの新興国と変わりはないと断言して憚らない向きも少なくない。肝心の日本自身は母国をどう見ているかといえば、中々シビアな点をつけている。概して先進民主主義国にはまだまだ及ばないというのが本音と言えそうだ。

 しかし見かけは悪くない。戦後物騒な革命もなかったし、ほとんど一年中国会が開かれ、法案審議に余念がない。縦から見ても横から眺めても立派な民主国だ。

 第一あの堂々たる白亜の殿堂を見るがいい。いまあれだけの議事堂は作ることができそうもない。そして国会で会議のある日は与野党神妙に審議に励んでいる。これに文句があるかといいたいくらいだ。

 しかし何か物足りない。憲法には「国権の最高機関」と明記されているが、それでも何となく不安だ。カウンター・パートの官僚と比べると、人物力量の点で劣るところなしとしない。それでも国民が直接一票を投じた天下の選良だ。威張ることもなければ卑屈になる必要もない。

 それでも何となく立法府が一目置いているのが行政府だ。それほど行政府を奉らなくても結構だと言いたくなる。司法を加えて三権は同列だ。官僚は概して優秀な人材がそろっている。立法府は豪傑揃いだ。すぐ腕まくりする傾向があるが、それなりに愛嬌もある。ところがその豪傑の部下たちは虎の威を借りることもある。

 ここで言いたいのは立法府と行政府は仲良く協力せよということだ。陰で悪口を言い合うのはやめて、堂々と話し合えばいい。立派な議事堂の中に入っても、何か身分の区別があるようで気持ちが悪い。

 通常国会もそろそろ終盤戦を迎える。成績を問えば可もなければ不可もない。しかしそれでは困る。国会がテレコテレコでは日本は世界から置いていかれるばかりだ。

 集団的自衛権行使容認の問題の激論が交わされているが、これをどこまで詰められるのか。世界が注目しているのだ。官僚のチエを借りてでもこのヤマ場は乗り越えなければならない。(I)