米、金融制裁で北に圧力か
福井県立大学教授 島田洋一氏が講演
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良<ゆずる>・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が23日、都内で開かれ、福井県立大学教授で拉致被害者を「救う会」全国協議会副会長の島田洋一氏が「トランプVS金正恩―北の非核化と拉致問題の行方」と題して講演した。
島田氏は、米国家安全保障会議(NSC)に新設された北朝鮮問題を担当するポストに、財務省や国務省で北朝鮮やイランへの経済制裁立案に携わったアンソニー・ルッジェーロ氏が起用されたことに触れ、トランプ政権は金融制裁で北朝鮮に圧力をかける可能性があると分析。
「ルッジェーロ氏は、北朝鮮のさまざまな資金を扱っている中国四大銀行の一つ、中国銀行への制裁を主張している。トランプ氏なら歴代政権ができなかった中国銀行への制裁に踏み込む可能性は十分あり得る」と指摘した。
さらに、北朝鮮が真剣に非核化に取り組む姿勢が見られなければ、金融制裁の次の段階として、対北強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を中心に、「軍事オプションを具体化していく可能性がある」との見方を示した。
また、日本人拉致問題について、「何らかの要因で北朝鮮が混乱状態に陥った時、自衛隊を派遣することは難しく、現状では米軍に頼らざるを得ない。そういう時に拉致被害者を救出できる態勢をつくっておくべきだ」と主張した。
講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は「自由と民主主義、法の下の平等、人権という価値観のない中国が世界を二分する勢いで行動している」と強い警戒感を示した。