11月8日 米中間選挙 インフレで民主苦戦か


トランプ氏動向に高い注目

 11月8日に実施される米中間選挙は、上院の100議席のうち34議席と下院の全議席に当たる435議席が改選となる。現在上下院で多数派の与党・民主党は、上院で1議席、下院で5議席失うと共和党にその座を譲ることになるが、現状では苦戦が予想されている。

米下院議場での採決風景=2021年3月10日(UPI)

米下院議場での採決風景=2021年3月10日(UPI)

 歯止めのかからないインフレ、不法移民の急増、全米各地における犯罪の増加などの問題への民主党の対応に有権者の不満が広がっていることが最大の理由だ。ショーン・クーパーマン・リサーチの世論調査によると、バイデン氏や民主党が「懸命に働く米国人から離れ、価格上昇など米国人の日常的な関心事を無視している」との見方に同意する人が66%にも上った。

 党内左派が主導する育児支援や気候変動対策などが盛り込まれた1兆7500億㌦規模の歳出法案は、穏健派のマンチン上院議員がインフレを助長する懸念などを理由に反対を表明。少なくとも現状の法案では成立は困難な情勢となり、民主党は、中間選挙で有権者に訴える効果的なメッセージを欠いたままだ。

 一方、共和党は物価上昇を「バイデンフレーションだと批判し、勢いづいている。同党下院トップのマッカーシー院内総務は、「バイデン氏が(2020年の大統領選で)16ポイント差以上で勝った選挙区の民主党候補でも、もはや安全ではない」と警告。下院選で共和党が60議席以上獲得することもあり得ると強気の見通しを示している。

 次期大統領選への出馬をちらつかせるトランプ前大統領は、中間選挙に向け80人以上の候補者をすでに推薦。退任して1年に満たない前大統領としては異例の数で、共和党支持者の間で依然として高い人気を誇る同氏の動向にも注目が集まっている。

(ワシントン・山崎洋介)