10月2日 ブラジル大統領選 左傾化波及 苦戦する現職


劣勢挽回へ保守派団結も

 ブラジル大統領選挙の投票日は10月2日。有効投票50%以上獲得した候補がいなければ決選になる。就任は来年の1月1日で任期は4年。2期までは再選が可能だ。

ブラジルのボルソナロ大統領=2021年10月22日、ブラジリア(AFP時事)

ブラジルのボルソナロ大統領=2021年10月22日、ブラジリア(AFP時事)

 今回の選挙は、中南米で左傾化の旋風が吹き荒れる中で実施される。2020年10月のボリビア大統領選挙に始まり、ペルー、ニカラグア、ホンジュラス、チリと左派、共産系候補が相次いで当選したのだ。ブラジルの保守派だけでなく、米国の保守派にも強い危機感が流れている。

 現状で最も有力とされる候補者は、現職で中道右派・自由党(PL)に所属している保守ジャイル・ボルソナロ大統領(66)と中道左派・労働党(PT)の重鎮、ルラ・ダシルバ元大統領(76)の2人だ。直近の世論調査による支持率は、ルラ氏の40%に対して、ボルソナロ氏が30%と現職が苦戦している。

ブラジルのルラ元大統領=2021年11月18日、スペイン・マドリード(EPA時事)

ブラジルのルラ元大統領=2021年11月18日、スペイン・マドリード(EPA時事)

 「第3の候補」となり得るのは、中道のポデモス党(PODE)所属で、ルラ氏を汚職裁判で収監に追い込んだ「国民の英雄」セルジオ・モロ元判事(49)、中道左派・民主労働党(PDT)のシロ・ゴメス元セアラ州知事、中道左派・ブラジル社会民主党(PSDB)のジョアン・ドリア、サンパウロ州知事だ。

 ボルソナロ氏の「再選」が焦点だが、コロナ禍で貧困対策を訴える候補に票は流れやすい。現状は、ブラジルを含めてほとんどの中南米メディアが「ボルソナロ不利」との見方だ。

 ただし、実際の選挙となれば、ブラジル社会だけでなく政界でも大きな力を持つ保守福音派を中心として、ブラジルの保守派が保守政権の維持に向けて団結する可能性は高い。筆者の予想では、ボルソナロ氏とルラ氏による史上まれに見る接戦になるとみている。

(サンパウロ・綾村 悟)