4月10日 フランス大統領選 対マクロン氏 右派が熱戦


勝敗のカギは候補一本化

マクロン仏大統領(AFP時事)

マクロン仏大統領(AFP時事)

 フランスは2022年4月10日の大統領選挙1回目投票(有効投票50%以上獲得した候補がいなければ24日決選投票)を控え、政治の季節に突入した。マクロン大統領に対して、今回は右派候補が熱く、左派候補は低調だ。ドイツと違い右旋回が目立っている。

 有力視される右派には女性候補者が2人いる。右派・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン党首(53)はRNの前身、国民戦線の創設者、ジャンマリ・ルペン氏の娘で、前回17年の選挙では決選投票に勝ち進みマクロン氏と戦った。今回も有力候補の一人に挙げられている。

マリーヌ・ルペン氏(EPA時事)

マリーヌ・ルペン氏(EPA時事)

 もう一人の女性候補者は、野党・中道右派の共和党(LR)の公認候補、バレリー・ペクレス元仏予算相(54)。公認が決まった12月に入り、支持率が急上昇し、前回大統領選で下野したLR期待の女性候補でルペン氏を脅かす存在だ。

 右派には、もう一人、半年前から支持者を増やした「移民ゼロ」をスローガンに掲げる極右単独候補の元政治評論家のエリック・ゼムール氏(63)がいる。フランスの再生には移民は不要という過激な政策で人気を集めている。

 中道のマクロン氏に立ち向かうには今後、中道派のペクレス氏を除き、ルペン氏とゼムール氏が候補を一本化できるかも注目点だ。マクロン氏は金持ち優先の経済政策やエリート主義が批判され、黄色いベスト運動などで支持を落としているのが懸念材料だ。

バレリー・ペクレス氏(AFP時事)

バレリー・ペクレス氏(AFP時事)

 野党・社会党(PS)は現時点でパリのアンヌ・イダルゴ市長(62)が左派候補だが、世論調査では右派候補らに大きく溝を開けられている。イダルゴ氏は女性であることが強みだが、1月のPS公認候補選まで先は見えていない。

 記者の独断的予想では、共和党のペクレス氏が伝統保守の支持層にも人気があり、コロナ禍後の経済再生を期待する有権者にとっては、マクロン氏と決選投票を戦う可能性が高いとみている。

(パリ・安倍雅信)