5月9日 フィリピン正副大統領選 ドゥテルテ与党 空中分解


存在感増す「2世」の2人

ボンボン・マルコス氏(EPA時事)

ボンボン・マルコス氏(EPA時事)

 5月9日に投票が行われるフィリピン正副大統領選挙は、最大与党のPDPラバンの内部分裂によりドゥテルテ大統領の後継候補がいない状態に陥っている。ドゥテルテ氏自身も予定していた上院選への立候補を土壇場で撤回するなど、存在感が低下している。

 この中、世論調査で支持率が伸びているのが、独裁者として知られる故フェルディナンド・マルコス元大統領の長男で大統領候補のボンボン・マルコス元上院議員と、副大統領候補でドゥテルテ氏の娘であるサラ・ドゥテルテ氏だ。最新の世論調査では53%の支持を集めてマルコス氏が首位を独走し、20%で2位の野党ロブレド副大統領を大きく引き離している。また副大統領候補のサラ氏も45%の支持率で首位となっており、共闘関係にあるこの2人が正副大統領選で圧倒的な存在感を放っている。

パッキャオ氏(AFP時事)

パッキャオ氏(AFP時事)

 しかしマルコス氏は、過去の脱税問題などから、立候補資格の剥奪を求める申し立てが複数出ているという懸念材料も抱える。

 一方、与党PDPラバンはパッキャオ上院議員派とクシ・エネルギー省長官を中心とするドゥテルテ派の対立が深刻化。パッキャオ氏が別政党から大統領選に立候補し、ドゥテルテ氏の側近であるゴー上院議員も大統領選への立候補を取り下げるなど、空中分解状態となり存在感を失った。

ロブレド比副大統領(EPA時事)

ロブレド比副大統領(EPA時事)

 PDPラバンはサラ氏を取り込んで大統領候補とし、ドゥテルテ氏が副大統領に立候補する「父娘タンデム」を画策していたが実現せず、ドゥテルテ氏の高い支持率を選挙に生かせない状態に陥った。

 今後はドゥテルテ氏が、誰を後継者候補として支持するかに関心が移っているが、完全にタイミングを逸したとの見方もあり、影響力を維持できるかは未知数だ。

(マニラ・福島純一)