コロナ禍の地中海クルーズ 収容50%に抑えて運航


最大手旅行代理店「エル・コルテイングレス」
ヘスス・ヒル氏

ヘスス・ヒル氏

ヘスス・ヒル氏

 コロナ禍の地中海クルーズについて、スペイン最大手の旅行代理店「エル・コルテイングレス」の担当者、ヘスス・ヒル氏に事情を聞いた。(マドリード・武田 修)

クルーズが再開されたばかりだが、年末から2022年の予約状況はどうか?

 順調だ。ほとんどのクルーズ船の乗客収容率は概ね50%に抑えている。

予約者の年齢層は?

 行き先にもよるが、高齢者が多い。学生など若年層をターゲットにしている代理店もあるので、結果的には老若男女バランスが取れると思う。

クルーズに参加するに当たり、どんなコロナ関連の提出書類が必要か?

 ワクチン接種証明書がベストだが、一般的にはPCR検査の陰性証明書が求められている。どちらも所持していない場合は、乗船時に抗体検査を実施しており、結果が陰性なら問題ない。

もし、船内の抗体検査で陽性と判断された場合はどうか?

 乗船は拒否される。ただ、クルーズ契約時にあらゆるケースを想定し、顧客には保険加入を勧めている。このような場合は代金の全額返済は当然、宿泊費等の必要経費もカバーされる。

船内のコロナ感染対策はどのようにしているか?

 各施設の収容人員の制限、マスク着用の義務、衛生管理等、陸上の対策と同様だ。

船内で感染者が出た場合、どのような措置を講じるのか?

 感染者用の特別隔離室を設けている。医療体制も整っている。乗船率50%程度で運航しているので、万が一の場合でも隔離室が不足することはない。

寄港地での観光は可能か?

 非常に重要なことがある。従来なら寄港地での観光は個人の自由だが、この時期、フリーの観光は禁じられている。ただし、クルーズ会社が特別に手配し、団体で行動する場合は許可される。ショッピングも同様だ。この特別バスは、船会社や旅行代金にもよるが基本的には無料で利用できる。


 地中海クルーズの人気が高い要素は幾つも挙げられるが、ゆったり感、開放感もさることながら、寄港地のほとんどがEU(欧州連合)諸国内にあり、出入国時の手続きが不要、通貨も共通のユーロで両替の煩わしさがない。何よりも、1日当たりのコストがフルペンシオン(全て込み)で100ユーロ(約1万3000円)未満の料金設定コースが多いのもその魅力の一つだろう。