報道スタンス映す世論調査
今年も改憲派、護憲派の集会が5月3日に開催された。マスコミ各社も毎年、この時期に憲法に関する特集記事や世論調査を実施している。一部の社の世論調査の結果を除けば、昨年のこの時期と比較して改憲に慎重な意見が多かったようだ。
だが、本当に改憲に反対している人が増えているのだろうか。以前から全国紙の中で、産経、読売新聞は改憲に積極的な報道をしている。一方、朝日、毎日新聞は改憲に慎重な報道をしていることは、新聞を読み比べすればすぐに分かる。新聞社と同じグループのテレビ局も同じスタンスだ。
誤解を恐れずに申し上げれば、世論調査は各社の普段からの報道スタンスを色濃く示す結果となることが多々ある。
朝日は世論調査の結果を受けて、5月3日付社説で次のように書いていた。
「憲法記念日を前に実施した世論調査では、安倍政権下での改憲に『反対』は58%で、『賛成』の30%のほぼ倍となった。政策の優先度で改憲を挙げたのは11%だった。『この1年間で改憲の議論は活発化した』という首相の言葉とは裏腹に、民意は冷めたままだ。」
ここで注目すべきは、なぜ、朝日は「安倍政権下」という言葉を入れる必要があるのか。「憲法改正は必要か」という質問ではなく、「安倍政権下」という言葉を入れて質問するところに、朝日の嫌らしさが透けて見える。
「人権、自由、平等といった人類の普遍的価値や民主主義を深化させるのではなく、『とにかく変えたい』という個人的な願望に他ならない。」とも書いている。
結論として「首相の都合で進める改憲は、もう終わりにする時だ。」と断じた。
安倍政権以外ならば、朝日は改憲を認めるのか。一部の反自衛隊の人を除けば、多くの国民は自衛隊を憲法に明記することに反対しないはずだ。自衛隊を憲法に明記することで、日本が戦争に巻き込まれると本気で考えている人もいないだろう。
最後に、朝日の言う「人権」は、自衛官には適用されないのか。朝日の見解を聞いてみたいものだ。
(濱口和久)