近く廃刊?「民進プレス」 「希望の党」全力で支援
立憲参戦で野党版“応仁の乱”
民進党の機関紙「民進プレス」は第3金曜日が発行日だ。10月は20日。衆院選も終盤大詰めだ。
そこへ1面に「党員・サポーター、そして国民の皆さまへ」と題した前原誠司代表の、9月28日両院議員総会における今回の選挙に向けた決定に理解を求めるメッセージを載せた同紙が発行された。
この10月20日号は4ページ。「プレス民主」時代から月2回タブロイド判8ページで続いてきた機関紙だが、3月から月1回8ページに半減。さらに同号でまた半減…(「今回は都合により」と断ってはいるが)。党の運命もどうなるか選挙後が見ものなところ、廃刊近し?の思いを禁じ得ない。
同メッセージの内容は、①公認内定を取り消す②民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認要請する③民進党は候補者を擁立せず「希望の党」を全力で支援する――の決定について、「主たる目的は、安倍政権を終わらせること」であり、理由は、アベノミクスは暮らしを崩壊させる可能性がある、憲法違反の法律を強引に成立させることを許さない、森友・加計問題など情報隠しは民主主義に反する、などを挙げている。
野党なりの理由は述べられている。だが、文中に「『希望の党』とは理念や基本政策の方向性については一致をしています」と説明しているところで希望の党との食い違いがあり、小池百合子同党代表の「排除」発言を引き起こした。特に、民進が「憲法違反」として反対した安保法制を希望は支持しており、反発した民進の左派は離党して立憲民主党を結党した。
また、前原氏はメッセージで、決定の大義名分について「民進党の目指す社会を実現する第一歩です。2大政党制を確立し、政権交代を通じて理想の社会を作るための土台強化です」と語っている。しかし、選挙に参戦しないので党として声の届けようがない。むしろ、選挙では民進を離党した立憲民主の枝野幸男代表らの主張の方に注目が集まっている。
9月代表選を制した前原代表ら主流派が声を失い、負けた非主流派の枝野氏らが新党を作り声高に自らの立党の意義を叫んでいるのは皮肉な結果だ。アピールの差は歴然としている。
さらに、民進は全力で希望を支援すると述べているが、民進の党実務スタッフ、支持団体など、かなり立憲民主に持って行かれたようだ。希望、立憲民主ともまだ機関紙はなくネット・メディアに頼るが、ホームページを見ても希望より立憲民主は短期間に充実したサイトを立ち上げており、SNSも盛んだ。組織戦の差を感じる。
結局、民進のお家芸である党内抗争は、東京都議選結果をめぐる蓮舫執行部糾弾、「民共共闘」の是非を争点にした9月代表選を経て、衆院解散の局面で党分裂を招き、他野党を巻き込んだ選挙になった。希望と立憲民主に分かれて争う野党版“応仁の乱”だ。
野党第一党の民進党代表は野党のトップでもあるが、希望でも立憲民主でもなく無所属で京都で出馬している前原氏は、さながら将軍足利義政だろうか。
編集委員 窪田 伸雄