憲法9条の変遷 「自衛隊」も憲法適合性が前提に


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日本大学名誉教授 小林宏晨

 日本国憲法は、占領下の異常状態の下で検閲を含む占領体制の様々な超憲法的制約の中で制定された。このため日本国民の憲法制定権力が行使されたと見なすには無理がある。むしろ米占領当局の意思が強く反映した、ある種の「協約憲法」と見なされる。

 「協約憲法」の、とりわけ憲法第9条の解釈の中で、占領軍の政策に相応するものが軍隊保持の禁止を提唱する「多数説」だった。当時の占領政策は日本の武装解除と非軍事化だった。しかも日本はその主権が極度に制限され、自前の軍隊がなく他国の軍隊に占領された状態にあった。


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