社民党の「不退転」
政党要件喪失へ秒読み段階/民主や共産と何が違う?
社民党の機関誌「社会民主」4月号は党大会を受けて「党改革へ不退転」の特集を組んだ。社民党は2月22、23日に党大会(第14回定期全国大会)を開き、「党首特別提起『党改革第一弾』」を議案として提出、決定した。が、内容は民主党にも共産党にもならない存在感の埋没を跳ね返すとは言い難い。
党員1万6000人、地方議員600人、昨年参院選比例区票は125万5235票で「前回参院選から約100万票の減、衆院選から17万票の減という大変厳しい結果」だ。「衆参合わせて5議席という現状は、政党要件ぎりぎりであり、2016年夏の次期参議院議員選挙とその前後に予想される衆議院議員総選挙において党が前進を果たせなければ、たとえ現状維持であっても国政政党として生き残り得ないことを覚悟する必要がある」と、まさに「不退転」の危機感。
しかし、社民党にあるのは、共産党も民主党もする自民党批判なのだ。「『平和・自由・平等・共生』の理念の下で『人々が個人として尊重され、自然と調和し、平和で人間らしく生きることのできる社会』を掲げた社会民主主義こそが、安倍政権の進める新自由主義・新保守主義への対抗軸である」というが、民主党が目指す「共生社会」と似通った理念だ。
「社会民主主義」について同誌に「21世紀型の社会主義と社会民主主義を考える」と題する経済学者・伊藤誠氏の論文が載る。新自由主義への対抗を論じるくだりで、「人びとを鼓舞するような構想なしには、本格的な反資本主義運動は出現しないであろうが、逆にまた、そのような運動の不在がオルタナティブの明確化を排除しているのである」と、左派勢力にとっての「閉塞状況」を指摘している。
が、ここまで読むと、日本共産党員が「その『構想』はわが党綱領に……」と言って勧誘に飛んで来そうだ。実際、社会党が自民党との連立後、社民党に改称した1996年以降、共産党に「90年代の躍進期」を献上した。しかし、同記事を含め党改革論議に参加した各代表の記事にも共産党への言及や批判が皆無である。選挙となれば野党同士で反自民票の奪い合いになる。社会党時代は反自民で一人勝ちしたが、今は最弱野党なのだ。
伊藤氏の「21世紀型社会民主主義」も漠然とした展望である。先進国の社会民主主義の諸策を重視し、その担い手は「少なくとも新自由主義的資本主義に批判的に対抗する社会運動として、たがいに敵対しあうべきではなく、広く連帯すべき関係にあるのではなかろうか」と、組合、NPO、NGO、市民運動などに期待を示している。
しかし、そのような広がりが社民党にはない。「『反貧困、脱原発、護憲』という正しいスローガンと政策で闘った。世論もこのスローガンを支持する。しかし、これが社民党支持につながらない」(党兵庫県連合副代表・小柳久嗣氏)という投稿も載り、「党首特別提起」も「党の基本的な政策は間違っていないが、党への支持に結びついていない現状にある」と認識する。政策の是非はさておき、この際、一番似た主張をする共産党から票を取り返すことを考えるべきだ。
解説室長 窪田 伸雄