年内に党改憲原案を起草 衛藤征士郎本部長
来年通常国会に法律案提出
自民党憲法改正推進本部・衛藤征士郎本部長 本紙に語る
自民党憲法改正推進本部の衛藤征士郎本部長は6日、世界日報社のインタビューに応じ、自民党として年末までに憲法改正原案の起草を完了し、来年の通常国会の憲法審査会に改正原案を土台とした法律案まで提出する意向を表明した。
(政治部・武田滋樹、亀井玲那)
自民党は2018年3月、憲法改正の4項目条文イメージを取りまとめたが、これは憲法審査会で審査の対象となる憲法改正原案ではなく、あくまでも審査会での議論を進める「たたき台素案」という位置付けだった。今回、党として具体的な改正原案を提示する方針に転換したのは、停滞する国会での改正議論を活性化させるとともに、国民の憲法改正に対する関心を高めることで改正に向けた「確かな進捗(しんちょく)」を狙ったものだ。
衛藤本部長は、憲法改正の現状について、「(各政党は)憲法改正の条文を国民に示さず、国会でああでもないこうでもないと言い合うだけだという、極めて冷ややかな見方を国民はしている」と指摘し、「どこをどうするかという憲法改正原案を、党の責任において各党が整えて、法律案として出さなければならない」と強調した。
その上で、自民党として「条文イメージから憲法改正原案、そして憲法審査会に法律案を提出するのが与党としての使命であり責任だ」としながら、「年内に党の改正原案の起草を完了する」と言明。さらに「それをベースとして他の政党と話し合いをして、自民党としては法律案として憲法審査会に提出する」方針であることを明らかにした。
衛藤氏は、「原案ができれば、国民は非常に関心を持つ。真剣に向き合ってくれる。今は斜に構えているが、今度は真正面から向き合うようになる」と、原案提示が国民の関心を高める契機となり得ることを強調。また、本部長就任に当たり、菅義偉総裁から「挙党体制をしっかりと構築して(改正を)推進してほしい」と言われたことを明らかにし、「連立政権を組む与党(公明党)との話し合い、協議、連携をしっかりと積み上げていきたい」「憲法改正に前向きな政党ともよくよく話し合いをしたい」と語った。
改正に向け「確かな進捗」を
就任の抱負は。
憲法は、国家存立の基本であり、国創りの理想・理念・指針の原点だ。国民一人一人の公共財であり、国民の最たる共有財産だ。よって、国家と国民のプレゼンスを高めるために憲法改正は必然だ。
2000年の12月に国会衆参両院に憲法調査会が設置され、途中で憲法審査会に移行して20年になる。この間、憲法改正を推進してきたが、これからは改正の確かな進捗(しんちょく)、実現への確かな取り組みが必要だ。
党として改正にどう取り組むか。
党は憲法改正の条文イメージを4項目取りまとめている。イメージ案から憲法改正原案、そして憲法審査会に憲法改正法律案を提出するのが、与党としての使命であり責任だ。年末までに憲法改正原案を取りまとめて、来年の通常国会では改正原案、法律案を憲法審査会で審査してほしい。
また、連立政権を組む与党(公明党)との協議、連携をしっかりと積み上げていきたい。憲法改正に前向きな政党ともよくよく話し合いをしたい。
菅義偉総裁が任命に当たって語ったことは。
挙党体制をしっかりと構築して推進してほしい。これに尽きる。
安倍晋三前総裁と菅総裁の憲法問題への取り組み方の違いは。
安倍総裁は、総裁1強型で引っ張ってきた感がある。菅さんは挙党態勢で牽引(けんいん)する。これは大きな違いだ。
衆参両院の憲法審査会の議論が停滞している。立憲民主をはじめとする野党をどう議論に引き入れるか。
(各政党は)憲法改正の条文を国民に示さず、国会でああでもないこうでもないと言い合うだけだという、極めて冷ややかな見方を国民はしている。(憲法の)どこをどうするかという改正原案を党の責任において各党は整えて、法律案として出すべきだ。
審査会では全会一致の原則が足を引っ張る面もある。
それでは(改正は)できない。だから改憲本部は年内に改正原案の起草を完了する。それをベースとして他の政党と話し合いをして、自民党としては法律案として憲法審査会に提出する。
国民の関心を高めるにはどうする。
原案ができれば、国民は非常に関心を持つ。真剣に向き合ってくれる。今は斜に構えているが、真正面から向き合うようになる。
野党やメディアの一部には「安倍政権下での改憲」に反対との声があった。
憲法改正は国民のマターであり国会のマター。議員立法で、政府は関係ない。安倍総理ではなく、安倍総裁が取り組んでいた。それは分けないといけない。菅総裁が、総裁の立場で関与していく。そこを誤らないようにしないといけない。