「知らないうちに仕組まれていた」 森友問題、政権に喧嘩を売る構図
学校法人「森友学園」をめぐり国や大阪府、大阪市の補助金をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた前理事長・籠池泰典被告(67)、妻諄子被告(63)が、動画投稿サイト「ユーチューブ」などのSNS(会員制交流サイト)で、安倍政権と喧嘩(けんか)する構図が「知らないうちに仕組まれていた」と表明し、野党やマスコミの反安倍勢力と袂(たもと)を分かつような姿勢を示し、注目を集めている。
(社会部・川瀬裕也)
籠池被告が心境変化を吐露
反安倍勢力と袂分かつ?
これまで籠池夫妻は、安倍晋三首相の演説に激しく反論したり、政権を批判するデモ行進に参加したりするなどの活動を続けてきた。
しかし今月1日、ユーチューブに公開した「Abe gate コロナウイルスと森友学園問題の類似点」というタイトルの動画の中で泰典氏は「森友学園を潰(つぶ)し、その矛先を安倍さん(首相)の方にもっていきたいと思っている人間がいる」と発言。「一時は情報を遮断されたこともあった」としながら、「私をアンダーコントロールしようとした人間が確かにいたが、今はアンダーコントロールが崩れ、離れている」と心境の変化を吐露した。
もともと泰典氏は、教育勅語や、天皇陛下奉迎などの愛国教育を軸とした学校創立を目指しており、「安倍政権打倒のために動いた人たちが、日本のために立派な教育をしようとした学校を潰していった」と憤った。
諄子氏も「ふと思い出せば何かおかしい。『安倍犯罪だ』とか、安倍がどうのとか(反対する人たちに)私たちも乗っかっていた」と強調。さらに「もとはと言えば、小学校を建てさせたくなかった人たちの妨害だった」とした上で、「真っ先に駆け付けて来たのは辻元清美さん(現、立憲民主党)だった」と名指しで批判した。
さらに籠池夫妻は6日、ツイッターで、2017年3月に野党議員4人(小池晃=共産党、福島瑞穂=社民党、森裕子=国民民主党、今井雅人=無所属。所属は現在のもの)が自宅を訪れた時のことを振り返り、首謀者は明示しないまま、これら4人の議員を「何故、家に連れてきたのだろう」と述べた上で、「家の前にはマスコミが溢(あふ)れ返っていた。そもそもそこから政権に喧嘩を売る構図をつくったのです。私たちの知らないうちに、仕組まれていました」と表明した。
夫妻の長男、佳茂氏(40)は以前から「父と母は洗脳された状態にある」と発言しており、「両親を意のままにしている筆頭が、当時記者として私たちの前に登場した菅野完だ」などと主張していた。夫妻は今まで佳茂氏と距離を置いてきたが、1日の動画で泰典氏は、佳茂氏の著書『籠池家を囲むこんな人たち』(青林堂)について、「(周りの人たちは)とんでもない本だと言ってるが、まっとうなことが書かれているかもしれない」と思い直し、「読もうと思う」と発言。
4日に、その感想を投稿した。泰典氏は、「私と全く同じ意見も書いてあった」と評価。諄子氏は「今になってみれば、息子(佳茂氏)の方が(真実を)察知していたなと思う」と語っている。
6日のツイートは佳茂氏の菅野氏首謀説に同意する内容のものと推測されるが、これと関連し夫妻は10日付のツイートで「菅野さんを操っているのは、立憲の石垣のりこ議員の秘書をされている横川圭希ご夫妻かなあ」などとも発言している。
SNSのコメント欄には「やっと目が覚めたのですね」といった声や、「仕組まれたとはいえ、国会を空転させた責任は重い」、「反省して真実をしっかりと語ってほしい」といった声が寄せられた。