コロナ口実に国民監視強化、中国でネットの自由後退


 インターネット上の自由が新型コロナウイルスの拡大によって損なわれていることが、米ワシントンの人権擁護団体「フリーダム・ハウス」の最新の報告から明らかになった。

 報告によると、世界各国で、政府によるサイバー空間での言論の自由や反政府的な言論に対する弾圧、取り締まりが強まっている。これは、感染拡大を監視する名目で、国民の行動への監視が強まっているためだ。ネット上の自由が最も侵害されている国は中国、最も自由なのはアイスランドで、エストニア、カナダが続く。

 報告は「感染拡大で、世界的にインターネット上の自由の侵害が加速している」と指摘、フリーダム・ハウスのエイドリアン・シャバズ技術・民主主義部長は、「中国で、デジタル全体主義実現のためのツールの使用が常態化している。これは中国政府が長い間求めていたことだ」と指摘、中国のような非民主主義国で、ネット上のコンテンツや交流への監視、制限が強まっている現状を明らかにした。

 「隔離の順守を監視するため、自宅内、玄関へのウェブカメラの設置」を要求したり、海外の親族との通信など「通常のオンライン活動」を理由に民族的、宗教的少数派が拘束されたりする事例も報告されている。

 また報告は、国境を越えた情報の流れを制限し、サイバー空間を「分断」する「サイバー主権」の動きが加速していると指摘、シャバズ氏は「このままいけば、ゆっくりと進んできたサイバー空間の分断は加速し、完全なサイバー主権へ向かう可能性がある」と警告した。

(ワシントン・タイムズ特約)