現実化する『1984年』の世界
大月短期大学名誉教授 小山 常実
米国が「第二の中国」になる
トランプ派の再教育求める声も
テレビや新聞の報道を信ずるならば、1月21日午前2時前(ワシントン時間1月20日正午前)、ジョー・バイデン米大統領が誕生した。ただ国防総省は、バイデンを自己の最高指揮官とは認めていないようである。この点を重視するならば、バイデン政権は正式に発足していないのかもしれない。とはいえ、バイデン政権が誕生したものとして、話を進めていきたい。
メディアが言論を弾圧
さて、今回の米大統領選は、多くの人たちがリアルタイムで確認したように、また大統領補佐官ピーター・ナバロがまとめた報告書にあるように、民主党が仕組んだ不正選挙であったと言える。ドナルド・トランプ側は不正選挙であると追及したが、裁判所でも、州議会でも、連邦議会でもきちんとした審議は行われず、バイデンが第46代米大統領に就任することになった。
この間、メディアの報道はひどい偏向ぶりだった。三権分立の前提として国家の三つの権力といわれるが、報道機関は国家の第一権力ではないかと思わざるを得なかった。
報道機関は、米民主党とともに、トランプ自身およびトランプ陣営に対して徹底的な言論弾圧を行った。トランプ側の敗北の第一原因は、有力な報道機関の中でトランプの味方が一つも存在しなかったことであることは明らかである。
バイデンの勝利とは、トランプが多数を得て当選したことをなかったことにして、その嘘(うそ)を守るために言論の自由を弾圧し、国民が選んだ大統領を追放したことを意味すると言える。つまり、自由主義・民主主義を破壊したことを意味する。
そればかりではない。憲法と法律を守り抜こうとしたトランプ陣営とは反対に、バイデン側およびバイデンに味方した議員や裁判官らは、合衆国憲法や州憲法・法律を徹底して無視した。彼らは、暴力、金、ハニートラップの力により、法の支配の思想さえも破壊したのである。
今回のバイデン勝利は恐ろしい事態である。中国の共産党は、国民の選挙で選ばれたわけでもなく、歴史的正統性もないのに中国国民と国家を支配している不当な政権である。米国と中国という世界のツートップが不当な政権になることに、戦慄(せんりつ)しなければならない。
このような政権は、暴力と金などを使って統治する腐敗政権とならざるを得ない。自由民主主義も法も無視した独裁政権とならざるを得ないだろう。ロシアも含めた世界の三大国家が、全て独裁政権ということになるのである。
ジョージ・オーウェルの『1984年』では、三つの独裁国家・全体主義国家が鼎立(ていりつ)する世界が描かれている。このままバイデン政権が続き、トランプ派の有効な反撃がなければ『1984年』の世界が実現するだろう。
本来ならば、世界中が注視する中で明らかな不正選挙で選ばれたバイデン政権を、世界も日本国も認めるべきではない。国連は、選挙のやり直しをアメリカに対して勧告し、選挙監視団を送ってやり直し選挙をきちんと監視すべきではないか。
始まった“保守派狩り”
バイデン政権が続けばアメリカはどうなっていくか、一点だけ述べておこう。既に、米国ではすさまじい“保守派狩り”が始まっていると言われる。就職できない、職を追われる、暴力を振るわれるといったことが増えたと言われるが、それどころではない。民主党系の人たちから、保守派・トランプ派の全リストを作成し思想的に再教育すべきだという声が上がっている。
中国の再教育センターを思い出させる発言である。民主党議員の中には毛沢東の写真を部屋に飾っている人も存在し、毛沢東思想が民主党の中に浸透しているようである。バイデン政権の誕生とは、米国が第二の中国となることを意味するのである。(敬称略)
(こやま・つねみ)






